物慣れ[語句情報] » 物慣れ

「物慣れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物慣れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ぞうりと》りにはいった。 求馬は甚太夫とは別々に、毎日府内をさまよって歩いた。物慣れた甚太夫は破れ扇に鳥目《ちょうもく》を貰いながら、根気よく盛り場を窺《うか....
或る女」より 著者:有島武郎
に触れる機会を求めた。列車の中からはある限りの顔が二人を見迎え見送るので、青年が物慣れない処女《しょじょ》のようにはにかんで、しかも自分ながら自分を怒《おこ》っ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
れる空には昼月が少し光って見え隠れに眺められた。彼れは遂に馬力の上に酔い倒れた。物慣れた馬は凸凹の山道を上手に拾いながら歩いて行った。馬車はかしいだり跳ねたりし....
星座」より 著者:有島武郎
さした銀の平打の簪《かんざし》を抜いて、その脚でするすると一方を切り開いた。その物慣れた仕草《しぐさ》から、星野からの手紙が何通もああして開かれたのだと園に思わ....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
叔父も非常に当惑の様子、余も捨て置き難い事に思い、お浦を取り鎭めようとすると、物慣れた当家の夫人がお浦を抱いて、宛で、小供を取り扱う様に「貴女は未だ幼い時から....
親子」より 著者:有島武郎
た。想像していたのとはまるで違って、四十|恰好の肥った眇眼の男だった。はきはきと物慣れてはいるが、浮薄でもなく、わかるところは気持ちよくわかる質らしかった。彼と....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
る?」 刑事が躊っているところへ、折よく、密行の警官が通りかかった。 二人は物慣れた調子で、巡回の警官を呼ぶと、屍体の警戒やら、警察署への通報などを頼んだ。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
を受けないで済む場合である。今度はそうはいかなかった。 やがて、足軽らしい人の物慣れた調子で、 「馬籠の本陣も見えております。」 という声もする。間もなく半....
足迹」より 著者:徳田秋声
ひこして、疲れた内臓の喘ぐ音が、静かな病室の空気に聞えるのであった。 院長は、物慣れた独逸語で、低声で助手に何やら話しかけると、やがて静かに出て行った。 お....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
仆《たお》れるかまで、無名の師《いくさ》をやり通そうという準備であろう。とにかく物慣れた仕業《しわざ》である。 竜之助は冷然として、その書き終るを見ていると、....
人造人間事件」より 著者:海野十三
造人間については知らないんだが、一つ中を開けて見てみましょう」 そういって彼は物慣れた手つきでドライバーを手にとり、人造人間の胴中をしめつけている鉄扉のネジを....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
\と入って行くと彼等は話声を止めて振返った。そうして眼につく美少女のジャネットが物慣れた様子で新吉を引張るようにして次に入って行くと彼等の中の二三人は物珍らしさ....
阿芳の怨霊」より 著者:田中貢太郎
逃げだした由平は、足のむくままに吉田へ往って、其処の旅宿へ草鞋を解いた。宿の婢は物慣れた調子で由平を二階の一間へ通した。 「直ぐ御食事になさいますか」 「さあ、....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
申上げましたやら、さぞ、お気持をお悪くしていらっしゃいましたことと、ねえ」 と物慣れた静かな口調で、詫びた。用件はその息子の青年が、ぜひ一度私に逢って、お願い....
家庭料理の話」より 著者:北大路魯山人
もそうであるが、例えば、近頃市場に盛んに出廻っている南氷洋の鯨のべーコンなども、物慣れない人々によって、やれ臭いとか、不味いとか言って毛嫌いされているが、私など....