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物慾
「物慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「貨幣」より 著者:太宰治
、人間性一般の大問題であろうと思いますが、今宵死ぬかも知れぬという事になったら、
物慾も、色慾も綺麗に忘れてしまうのではないかしらとも考えられるのに、どうしてなか....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、せめて精神的にでも!」 鞭の音が聞こえて来る。そうして車の軋り音も。 「……
物慾の上に超越せよ。……飢餓同盟。……禁慾同盟。慈悲に縋れよ。……仏陀の慈悲に…....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
無いのか、慾の無い奴だな」 「おお殿様、こうなさりませ」お半の方が口を出した。「
物慾の無い香具師殿、物を遣っても喜びますまい。それよりご禁制の天主閣の頂上へ上る....
「家」より 著者:島崎藤村
、榊君の遊び方と私の遊び方とは全然違うんです……先生の恋には、選択は無い。非常に
物慾の壮んな人なんですネ……」 電車が両国の方から恐しい響をさせてやって来たの....
「花吹雪」より 著者:太宰治
の如きは最も頻繁なり。少しでも佳き値に売りたく、そのねばる事、われながら浅まし。
物慾皆無にして、諸道具への愛着の念を断ち切り涼しく過し居れる人と、形はやや相似た....
「創生記」より 著者:太宰治
知れ。つね日頃より貴族の出を誇れる傲縦のマダム、かの女の情夫のあられもない、一路
物慾、マダムの丸い顔、望見するより早く、お金くれえ、お金くれえ、と一語は高く、一....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら、時としてその本能が出て来て、人をして先祖の漂浪にあこがれしめるのではないか。
物慾の中に血を沸かして生きている人々が、どうかすると西行や芭蕉のあとに、かぎりな....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
となるかも知れない。が、それはわれ等にとりて大々的障害である。何となれば、それは
物慾に捕われたる悪霊の為めに門戸を開くからで、われ等の懸命の努力も、到底|之をい....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
と云って若さに未練をもつこともなかった。唯なんとなく枯淡をあくがれたにすぎない。
物慾も消えてゆく。強いてひたすらに思ってみたりすることも興味ない。まだ二十歳まで....
「葉桜と魔笛」より 著者:太宰治
もかも神さまの、おぼしめしと信じていました。 いまは、――年とって、もろもろの
物慾が出て来て、お恥かしゅうございます。信仰とやらも少し薄らいでまいったのでござ....
「青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
自然の区別があって、なければ余程マシなような冷淡な声をだしたりするから、ふと母の
物慾、その厭らしさを思いだしてゾッとするのだ。 私は自分で好きなものを見立てて....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
の心境ぐらいカンタンなものはない。乞食の心境である。人間というものは、助平根性や
物慾や、妄執と一しょのもので、芸術は現世のものであり、そこから離れて存在しない。....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
でもなかった。が、顔立ちには特色があった。と云うのは山間の住民などに見る、粗野で
物慾的で殺伐で、ぐずぐずしたようなところがなくて、精神的の修養を経た、信仰深い人....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
うに、壺の中に入って行った。 「見事々々!」と樵夫どもは、手を叩いて喝采したが、
物慾の少ない彼らだったので、そのままそこを立ち去った。 よろこんだのは金兵衛で....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
活の基調をなすものは、空想に対する異常な恐怖であったろう。空想には思想の悪魔性と
物慾の逸楽性との誘惑が伴う。鴎外はそれを明らかに認めて、恐れていたのではなかろう....