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物数奇
「物数奇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物数奇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
分の前を葉子に通らせて、顔をまっ赤《か》にして座に返った。葉子はしとやかに人々の
物数奇《ものずき》らしい視線を受け流しながら、ぐるっと食卓を回って自分の席まで行....
「牛肉と馬鈴薯」より 著者:国木田独歩
だが、何も平気で居て牛肉が喰《く》えるのに好んで喫驚《びっくり》したいというのも
物数奇《ものずき》だねハハハハ」と綿貫はその太い腹をかかえた。 「イヤ僕も喫驚《....
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
。いかに聖人のうらなり君だって、好んで猿の相手になりたくもないだろうに、何という
物数奇《ものずき》だ。 ところへあいかわらず婆《ばあ》さんが夕食《ゆうめし》を....
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
うやって出て来て、しきりに口を動かしているかと云えば、これは酔狂《すいきょう》や
物数奇《ものずき》で飛出して来たと思われては少し迷惑であります。そこにはそれ相当....
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
生活上別段必要のある場所にある訳でもなければまたそれほど大切な器械でもない、まあ
物数奇《ものずき》である。ただ上ったり下ったりするだけである。疑もなく道楽心の発....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
ゃなしね、そう真剣に自分の位地《いち》を棄《す》てて漂浪《ひょうろう》するほどの
物数奇《ものずき》も今の世にはありませんからね。第一|傍《はた》がそうさせないか....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
五分刈《ごぶがり》で額の所が面摺《めんずれ》のように抜き上がっている。 「そりゃ
物数奇《ものずき》と云うもんでさあ。せっかく来たから是非やるったって、何も家《う....
「行人」より 著者:夏目漱石
うに、家の下層から上層に通じているのとは違って、地面から岩山の頂《いただき》まで
物数奇《ものずき》な人間を引き上げる仕掛であった。所にも似ず無風流《ぶふうりゅう....
「中味と形式」より 著者:夏目漱石
も処世上の便宜からそう無頓着《むとんじゃく》でいにくくなる場合があるのと、一つは
物数奇《ものずき》にせよ問題の要点だけは胸に畳み込んでおく方が心丈夫なので、とか....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いわけにいかない。それらの人たちへの義理で、幸兵衛や平助と共にある屋敷へ招かれ、
物数奇な座敷へ通され、薄茶を出されたり、酒を出されたり、江戸の留守居とも思われな....
「『東洋美術図譜』」より 著者:夏目漱石
われわれの背景として作ってくれたといって恥ずかしくないものが大分ある。 西洋の
物数奇《ものずき》がしきりに日本の美術を云々《うんぬん》する。しかしこれは千人の....
「技術の哲学」より 著者:戸坂潤
とって置きになるかも知れない。だから折角の社会的な大発明も全く個人的な有償無償の
物数奇な試みに還元されて了う。発明は個人の気紛れな興味に一任されて了う。 処が....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
分というものは、論理的に少し変なものになりはしないか。この質問は氏によると決して
物数奇な動機から来るのではなく、極めて根本的な「恐るべき問い」なのだが、それがま....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
た。
自然や、神聖なる自然の種々の境界の事を、
誠実が無いではないが、自分流義に
物数奇らしい骨の折方をして、窮めようとしていた。
例の錬金術の免許|取のお仲間で....
「それから」より 著者:夏目漱石
解雇されるんだから仕方があるまい」 「だからさ。衣食に不自由のない人が、云わば、
物数奇《ものずき》にやる働らきでなくっちゃ、真面目な仕事は出来るものじゃないんだ....