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「物柔らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物柔らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
隔てもないという優しい公家気質《くげかたぎ》から、大納言はこの賤の女にむかっても物柔らかに会釈《えしゃく》した。 「聞けば独り寝の別れの歌を披露しようとて参った....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
れもなく六体の地蔵尊が見えるのです。 「ご僧」 静かにうしろへ近づくと、名人は物柔らかく、だが、その目の底になにものも見のがさぬさえた光をたたえて、静かにきき....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、怪猫がニャゴウと鳴きたてましたものでしたから、名人の口辺に静かに微笑がのると、物柔らかな問いが発せられました。 「そなたのねこであるか」 「へえい。なくなった....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
。――きらりと光った目の色をかくして、ほのかな微笑をたたえながらはいっていくと、物柔らかな声とともに赤前だれの娘に問いかけました。 「雨で客足がのうていけませぬ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
にもなり、お春という子までもある。舅小姑の面倒があるでは無し、主人の小幡は正直で物柔らかな人物。小身ながらも無事に上の御用も勤めている。なにが不足で暇を取りたい....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
職人の子弟は此処に通うものが多かった。公立の学校よりも、私立の学校の方が、先生が物柔らかに親切に教えてくれるとかいう噂もあったが、わたしは私立へ行かないで公立へ....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
て、顔色を変え、突いていた手がぶる/″\震える様子ゆえ、喜一郎は笑を含みまして、物柔らかに、 秋「いや源兵衞何か心配をして、これを言ってはならんとか、彼を言って....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
る。いつの間にかうとうとと夢をみる。天幕のなかで広告とりをしていた夢、浅草の亀。物柔らかな暮しと云うものは、私の人生からはすでに燃えつくしている。自己錯覚か、異....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
関係の確立して居た当時、もとより主従は一列にさるべきものでは無い。多分政宗方では物柔らかに其他意無きを示して、書院で饗応《きょうおう》でも仕たろうが、鎧武者《よ....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
卓布のような顔をしていたが、いきなり、何も言わずに、突発的ではあったが、ほんとに物柔らかに、静かに深くおれの足もとへ身をかがめて、額が地につくほどの、女学生式で....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ことがあるの。答えて下さるでしょう。」 店にお客が二組くらいあるので、さすがに物柔らかい調子ではいったが、新子は何とも答えられず、ただおぞましい悲しさで胸が一....
良夜」より 著者:饗庭篁村
とするとき、女はオオと驚くに予も心付きてヤヤと愕きたり。「蘭の鉢を庭へ出せよ」と物柔らかに命じながら主公出で来られぬ。座を下りて平伏すれば、「イヤ御遠慮あるな伯....
生きている戦死者」より 著者:牧逸馬
、日曜日にテレツファロス教会でふと相識になったという。フランツ・ホフマンと名乗る物柔らかな中年の紳士だった。宝石の旅行販売人で、心霊学に興味を持っていると言った....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
して、ただちに西インド諸島に急襲を加えることを、彼は提議した。そこでバアリイは、物柔らかに先般の群島襲撃の失敗をあてこすってみた。かくて伯爵とセシル父子との間に....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
にでも敲込め!』 院長のアンドレイ、エヒミチは玄関の間から病室の内を覗込んで、物柔らかに問うのであった。 『何故ですね?』 『何故だと。』と、イワン、デミトリ....