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物案じ
「物案じ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物案じの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
だわくわくするばかりで、心が落ちつかなかった。 窓の机に向って、ゆうがた、独り
物案じに沈み、見るともなしにそとをながめていると、しばらく忘れていたいちじくの樹....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
びはしませんでしたけれども、所在なさそうにホッと息をつきました。斯様《かよう》に
物案じ顔に頼りのない様子は、能登守としては珍しいことであります。 破牢の責任を....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
か》さまだって叱りゃしめえよ。なんなら、ひとつ、ぶッつかって見るか? くよくよ、
物案じをしているのは、娘ッ子のしわざだ。軽業のお初さんが、恋の病《やまい》――か....
「ヴィヨンの妻」より 著者:太宰治
ままでひとまず引きとっていただき、それから、寒い六畳間のまんなかに、ひとり坐って
物案じいたしましたが、べつだん何のいい工夫も思い浮びませんでしたので、立って羽織....
「二少女」より 著者:国木田独歩
るそうな吾妻下駄の音高く、芝琴平社の後のお濠ばたを十八ばかりの少女、赤坂の方から
物案じそうに首をうなだれて来る。 薄闇い狭いぬけろじの車止の横木を俛って、彼方....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
の母親とその子供達とが居た。 その女は誰かを待っているのであった。それも頻りに
物案じ顔に待ち侘びているのであった。と云うのは、彼女が部屋の中を頻りに往ったり来....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
それを歯痒《はがゆ》さに堪えられないでいたが、そうかといって、いつまでクヨクヨと
物案じをしている男ではない、コック部屋からまた給仕部屋へ帰ってから、このことがき....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もしかるべき客筋から招かれたから、出してやったあとで、お角は、こうしてひとりで、
物案じをしているらしい。 「どうも、今日のお客は変だよ、後から行ってみようとは思....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
ゆるようやく三つ四つ、背高く肉やせたり、顔だち凜々しく人柄も順良に見ゆれどいつも
物案じ顔に道ゆくを、出であうこの地の人々は病める人ぞと判じいたり。さればまた別荘....
「球突場の一隅」より 著者:豊島与志雄
んはまた松井を促した。 「今日は止しましょう。」と暫くして松井は云った。 「懐で
物案じというんですね……。」と云いかけたが、彼女は急に調子を変えた。「まあご悠り....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
をやり、支柱を拵えるなど、いろいろな仕事がありました。それらのことを、彼はなにか
物案じげな様子で、ゆっくりとしました。肥料としては、ただ堆肥だけを使い、下肥は用....
「女難」より 著者:国木田独歩
さしむかいでいても決して笑い転げるようなことはありません、二人とも言葉の少ない、
物案じ顔の、色つやの悪い女でしたが、何か優しい低い声でひそひそ話し合っていました....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
候も悪くはなし、食物の原因で気分を悪くする覚えもなし、病気で気分が悪いのと心配や
物案じで気分が悪いのとは何処《どこ》ともなく様子で違う。和女のは何か心配のために....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
から、あの石の所まで行って、
大ぶ歩いたから休もうじゃないか。
己は好くひとりで
物案じをして、この石に腰を掛けていた。
断食や祈祷で身を責めていた時の事だ。
あ....
「痴人と死と」より 著者:ホーフマンスタールフーゴー・フォン
出来たのだ。(物に驚きたるように。)もう暗くなった。己はまた詰まらなくくよくよと
物案じをし出したな。ほんにほんに人の世には種々《いろいろ》な物事が出来て来て、譬....