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物欲
「物欲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物欲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
けて持っている、歿《な》くなった母の遺物《かたみ》であった。
若者はその琅※に
物欲しそうな眼を落しながら、
「これは立派な勾玉ですね、こんな性《たち》の好い琅....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
振って見せた。
「わんと云え。わんと云えばこれをやるぞ。」
乞食の顔は一瞬間、
物欲しさに燃え立つようだった。保吉は時々乞食と云うものにロマンティックな興味を感....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
う当てを持っていた。そしてほんとうに連れがなくとも金と健康を持っている人に、この
物欲の市場が悪い顔をするはずのものではないのであった。 「何をしに自分は銀座へ来....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
思えば可哀相にサ、余が眠らぬ為此の者にまで食物の差し入れがないと見え弱り果てて、
物欲し相にサ、余の顔を眺める許りだ。余は傷《いた》わって「今に私が此の室から連れ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
に刎ねる、へへ。……さて、騒ぐまい、今がはそで無い。そうでは無いげじゃ。どの玩弄
物欲しい、と私が問うたでの、前へ悦喜の雀躍じゃ、……這奴等、騒ぐまい、まだ早い。....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
いかどうかはまだ決まってはいない。貧乏人の娘を裸体にして若い青年が囲んで、そして
物欲しそうな目や、好奇心の目で眺めているところを想像してみよ。これまことに嫌悪す....
「小公女」より 著者:菊池寛
蔑むように笑って、衿の中から細いリボンを引き出しました。「ほら、これよ。私の顔が
物欲しそうだったからあの坊ちゃんもクリスマスのお小遣を、下さる気になったのよ。」....
「退歩主義者」より 著者:坂口安吾
々起き上ったが、熊さんはツマミだしかねまじき殺気立った見幕であるから、馬吉は益々
物欲しくなるばかりである。 「なア、熊さん。ホーバイのヨシミじゃないか。センベツ....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
いるんで。盗られた! と思ったとたんに自分と一番近く並んでいた貧乏なお侍さんの、
物欲しそうだった顔が眼に浮かんで来たそうで。そこで『盗んだなアあいつだ』と云いふ....
「俊寛」より 著者:倉田百三
たがないや。 俊寛をさけるごとく、少し離れた所に行き網を打つ。 俊寛 (※の中を
物欲しそうにのぞきこむ。やがて隙をうかがい手を突込み魚をつかみ、ふところに入れる....
「光は影を」より 著者:岸田国士
に没頭したり、怪しげな株を買い込んだりしていた。 しかし、それを一概に、老年の
物欲へ走つたものとみることはできなかつた。発育盛りの二男三女を抱えて、一家の経済....
「今後の寺院生活に対する私考」より 著者:坂口安吾
寺院に特殊な生活があるとすれば禁欲生活より外にはないと思われます。しかし一般人間に即した生活|即ち情欲や
物欲に即した生活のあることを忘れる訳には行きません。寺院の人々は禁欲生活を過重し....
「想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
る方がやさしいといいたい位である。この意味で今日の新らしい日本画は殆ど皆駄目だ。
物欲しそうな感じしか与えられない。 写実の道を歩みたいのなら諸君の前には至極便....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
っても、
悪口を仰ゃっても、
御尤だと申します。
寄生虫
(諛ふ如く、
物欲しげに。)
お前方、元気な、真木を背負った男や、
御親類の
炭焼の男は
こ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
浪費を自然に掣肘し、かつ科学の進歩が生活物資の生産能率を高むる事が必要であって、
物欲のための争いを無限に放置されていた今日までの如き状態は解消せらるべきだと信ず....