物淋しい[語句情報] »
物淋しい
「物淋しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物淋しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
十八 請地の土手伝いに柳島へ帰ろうという途中、往来も途絶えて
物淋しい所へ、大の男がいきなりヌッとあらわれましたので、幸兵衞はぎょっとして遁げ....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
甲村の高堤で、此の辺は何方を見ても一円沼ばかり、其の間には葭蘆の枯葉が茂り、誠に
物淋しい処でございます。車夫はがら/\引いてまいりますと、積んで来た荷の中の死骸....
「光のない朝」より 著者:宮本百合子
ゆる約束を遂げないまま、急に生活から引離されてしまったのであった。 線香の匂う
物淋しい家に、おもんは全く独りぼっちになった。父親はいても、互に生き写しな気弱さ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なくなりました。 しかしながら、駕籠は、なおずんずんと進んで行くうちに、左右は
物淋しい田舎《いなか》の畑道のようなところになっているようです。おおよその方向と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
疲れで夢を見て、母を恋い慕うて覚めて見れば、身はひとり寝の祠の中で、外は日暮れの
物淋しい夕焼けの色です。 眼が覚めてもお君は、もうここを立ち去る気にはなりませ....
「小鳥」より 著者:宮本百合子
《めい》り、火鉢の火でもほげたく思うような時、袖をかき合わせて籠をのぞくと、一層
物淋しい心に打たれる。陽気な長閑《のどか》な日和の時には、晴々と子供らしく、見る....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
菩薩峠に通ずるの甲州裏街道であり、こちら方面からいえば、江戸街道であるが――この
物淋しい野中の街道の、人家には程遠いところへ、何の縁故で、お松が与八にすすめてお....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
、家の中がいやに静かである。次郎は、まもなく帰らなければならない、と思うと、急に
物淋しい気分になった。 「次郎ちゃんは、今日、由ちゃんとどうかしたんじゃない?」....
「青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
かった。彼等は夕日の照り映えた美しい景色を見下ろしている。円屋根のような形をした
物淋しい岳の出っぱりを縫って行くと、とある木立の下に古い、くちはてたような一脚の....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
・チャッズルウィット」、「ドムビー父子」、「デーヴィッド・コッパフィールド」、「
物淋しい家」、「小さなドリット」等の諸大作その他の作品を発表して、既に、当時全ヨ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
って、昼でも薄暗い山王の森。かれこれ午前三時というのでありますから、いかにも凄く
物淋しい。
その森の間をたらたら上りになる小径。空には月がありますが、木の葉が....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
ている。 ああ、少年は火葬場に骨拾いに来る人を待ち受けて施与を貰うために、この
物淋しい月の夜をこんなところに彷徨いているのだ。 五位鷺が鳴いて夜は暁に近づい....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
が、通りすがりの人に取っても、正確に一間|隔き位いにつっ立って居る白樺の木立ちの
物淋しい感じや、なんの変哲も無く一段と低くなった長方形の地面が、どういう場合に使....
「ヂユパンの癖とヴァンスの癖」より 著者:平林初之輔
ホームズやルパンなどの紳士とは非常に変わった探偵である。パリのサン・ジェルマンの
物淋しい、怪しげな家に住んでいて、絶対に世間の人と交際しないで、他人からおとなし....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
の道も見分《みわけ》のつかぬほど同じように見え、行先はどこへ続くのやら、何となく
物淋しい気がする。 わたくしは種田先生が家族を棄てて世を忍ぶ処を、この辺の裏町....