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物珍しい
「物珍しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物珍しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
おやさしゅうござんすわね」
葉子はしんなりと立ち上がってその写真の前に行った。
物珍しいものを見るという様子をしてはいたけれども、心の中には自分の敵がどんな獣物....
「或る女」より 著者:有島武郎
見出しの下に貴顕の肖像が掲げられてあった。葉子は一か月の余も遠のいていた新聞紙を
物珍しいものに思ってざっと目をとおし始めた。
一面にはその年の六月に伊藤《いと....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
に感謝の意を表したいと思う。 八 黒焼き 学生時代に東京へ出て来て
物珍しい気持ちで町を歩いているうちに偶然出くわして特別な興味を感じたものの一つは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
拘らず、この婦人の建築のながめ方には勘所《かんどころ》を心得たものがある。ただ、
物珍しい建築として見るのではなく、果して秀吉以来の古建築の名残《なご》りがどこに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
かれました。 十五 大船津の浜へのぼると、そこで田山白雲は、
物珍しい一行を見てしまいました。 数十人の団体が、手に手に小旗を持って船を待っ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
得て、ボートが迎えに来る。親船について、白雲は駒井の案内で、なにもかも目新しく、
物珍しい目で船の内外を見廻しながら、船長室に伴われて、そこで二人の会談がはじまり....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
真最中で、それをお師匠番が周旋する、床山《とこやま》がかけ廻る、その光景はかなり
物珍しい見物《みもの》でした。それを見ると道庵先生がムラムラと病気が萌《きざ》し....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
それまでは海の近くにいたことが一度もなかったような気がした。タールや潮の香も何か
物珍しいものだった。私は、いずれも遠く大洋を渡って来た、実に珍奇な船首像を見た。....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の小ユダヤ町を建設しつづけていた。クリストフはしばしば、その一郭を歩き回っては、
物珍しいまたかなり同情のある眼で、さまざまの型《タイプ》の女を通りがかりにうかが....
「千人針」より 著者:寺田寅彦
となってここに二つのかなり遠くかけはなれた若い女の世界が接近して、互いにいくらか
物珍しい興味をもって交渉しているのである。若旦那も時々|助太刀に出かける。それが....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
いる。皇帝になるのは鼻の高い、いい顔をしている。そこには女役もまじっている。私は
物珍しいのでそれをスケッチした。筆を走らせて写していると、写生帖をのぞき込んで、....
「中支遊記」より 著者:上村松園
な学校がひらかれていた。その二、三十人がみんなその唐子達である。私たちが近よると
物珍しいと見えて、その唐子達はついて来る。私は面白がってそのなかの一人の頭に手を....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
。 「裏返したように溝を前にして家の屋根より高く引上げてあったんだ。」 それも
物珍しいから、むやむやの胸の中にも、傍見がてら、二ツ三ツ四ツ五足に一ツくらいを数....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
ツ橋《ばし》へ出る。この道程《みちのり》もさほど遠いとも思わず初めの中《うち》は
物珍しいのでかえって楽しかった。宮内省《くないしょう》裏門の筋向《すじむこう》な....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
》している。 松崎は今ではたまにしか銀座へ来る用事がないので、何という事もなく
物珍しい心持がして、立止るともなく尾張町《おわりちょう》の四辻《よつつじ》に佇立....