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「物自体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物自体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
島原心中」より 著者:菊池寛
生前もがきにもがいた彼女は、嘖まれた上にも嘖まれた彼女は――息が絶えると同時に、物自体のように取り扱われ、身に付けていた最後の粉飾物を、生前彼女を苦しめ抜いた楼....
読書法」より 著者:戸坂潤
一つの経済理念と考えられている。之は現実の差額剰余(価値)や価格に対しては云わば物自体又は本体のようなものに当るだろう。併し博士の理念は現実に対しては当為(ゾル....
科学論」より 著者:戸坂潤
いう観念がこの哲学体系にとって無用であり又有害であることを示すものに他ならない。物自体の観念はカント哲学の一貫した立場から清算消去されるべきものであり、それの代....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
物弁証法によれば、認識の対象たり得ないような存在はない、形而上学的・不可知論的・物自体なるものはない。ここでは認識論的なのである。第一に弁証法的なるものは存在で....
現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
は、有名な事実であると共に、極めて意味の深いことだと云わねばならぬ。物そのもの(物自体)とは、別に何も特別な哲学的用語などではなく、単に物を物として取り上げるた....
認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
限りに於ては、認識の材料は、客観的な物そのものから、主観へ感覚として与えられる。物自体が人間の心を触発することが感覚だという。空間と時間という二種の純粋直観は、....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
ものでない普通の言葉であればこそ、物「そのもの」という言葉に意味が出て来るのだ。物自体と云うと何か哲学的に定義された術語ででもあるように想像されるのは、哲学の素....
辞典」より 著者:戸坂潤
の理論としての弁証法に外ならぬ。思惟を存在から絶対的に引き離して了えば、カントの物自体という如きものも生じて来るが、之は同語反覆に外ならない先天主義の結果にすぎ....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
、散文を書きなれた私には、圧縮された微妙な語感はすでに無縁で、語にとらわれると、物自体を失う。物自体に即することが散文の本質で、語に焦点をおくことを本質的に嫌わ....
敬語論」より 著者:坂口安吾
をなしており、生活が真情に即していないのだから、言葉が真情に即さなくなる。つまり物自体を的確に表現することが生活の主要なことではなくて、儀礼的に言葉をあやつるこ....
恋愛論」より 著者:坂口安吾
た一語の使いわけによって、いともあざやかに区別をつけてそれですましてしまうだけ、物自体の深い機微、独特な個性的な諸表象を見のがしてしまう。言葉にたよりすぎ、言葉....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
軽妙な気分をつくつてやる。イレズミは構図も彩色も着想も見事な妙味があるのだから、物自体としちや最もユニックな見世物なんで、単にエロ、下品、露骨と見せちやいけない....
百万人の文学」より 著者:坂口安吾
の片りんをとどめた例もないようだ。全集だ何だと鳴物入りで思いだしたようにやるが、物自体を本来の裸のままオッ放りだして、需要の限り何百千年でもつゞけてやろうという....
性格としての空間」より 著者:戸坂潤
に対する)。人々が自然を実在として信頼する理由を私はすでに述べた。無論この実在は物自体ではない、却って、物自体という概念が不成立に終ると云われながらも、事実とも....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
リューゼン香というものも、このマッコー鯨の体内に限って存在するのだそうだが、この物自体が天下名題の名香かと思ったら、そうではないそうだね。それ自体は悪臭の強いも....