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「物色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文章」より 著者:芥川竜之介
になって来るらしい。保吉は内心ぎょっとしながら、藤田大佐の肩越しに向う側の人々を物色《ぶっしょく》した。と同時に場所|柄《がら》を失した笑い声だと思ったものは泣....
」より 著者:芥川竜之介
自分たちは、いい気になって、この待合室に出入《しゅつにゅう》するいろいろな人間を物色しはじめた。そうして一々、それに、東京の中学生でなければ云えないような、生意....
」より 著者:芥川竜之介
ってここへ出入する僧俗の類《たぐい》も甚だ多い。内供はこう云う人々の顔を根気よく物色した。一人でも自分のような鼻のある人間を見つけて、安心がしたかったからである....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
気がつきましたから、思わず周囲の高土間《たかどま》を見まわして、その挨拶の相手を物色しました。するとすぐ隣の桝《ます》に派手《はで》な縞の背広を着た若い男がいて....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
しりと横着けに聳《そび》えていた。 僕はやっと欄干を離れ、同じ「社」のBさんを物色し出した。長沙に六年もいるBさんはきょうも特に※江丸へ出迎いに来てくれる筈《....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
冬期休業の間に物故《ぶっこ》してしまった。それが余り突然だったので、適当な後任を物色する余裕がなかったからの窮策《きゅうさく》であろう。自分の中学は、当時ある私....
路上」より 著者:芥川竜之介
彼はそこに佇《たたず》んだまま、しばらくはただあたりの机を睨《ね》めつけたように物色していたが、やがて向うの窓を洩れる大幅《おおはば》な薄日《うすび》の光の中に....
忠義」より 著者:芥川竜之介
せ》は、どこにもない。 こう思った林右衛門は、私《ひそか》に一族の中《うち》を物色した。すると幸い、当時若年寄を勤めている板倉|佐渡守《さどのかみ》には、部屋....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、青い、が、べっとりした蚊帳を釣って、行燈がある、それで。――夜目には縁も欄干も物色われず、ただその映出した処だけは、たとえば行燈の枠の剥げたのが、朱塗であろう....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
かりで、かねて算した通り、一先ず姿を隠したが、心の闇より暗かった押入の中が、こう物色の出来得るは、さては目が馴れたせいであろう。 立花は、座敷を番頭の立去った....
暗号数字」より 著者:海野十三
地下一階にある洋酒部の売場に近づいた。 ぶらりぶらりと客を装いながら洋酒売場を物色するうちに、彼は遂に、問題のスコッチ・ウィスキーの絵看板を洋酒の壜の並ぶ棚に....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
ア当然……それはあえて怪しまないが、村の巡査と共にやって来た役人が、家財道具など物色したが、結局、二百円なにがしに相当するものは、厩にもそもそと藁を食っている一....
三枚続」より 著者:泉鏡花
とんど名状すべからざる、都門一場の光景は一重の硝子に隔てられてビイヤホールの内は物色沈々、さすがに何となく穏かならぬ宇宙の気勢の、屋を圧して刻々に迫るを覚ゆる、....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
(あるいは既に退社していたのか、ドッチだか忘れてしまったが、)その後任として私を物色して、村山の内意を受けて私の人物見届け役に来たのだそうだ。その時分緑雨は『国....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
だ。 筋肉労働にはあきがくる。私は筋肉労働ではない仕事をしてみたいものと商売を物色していたが、ある日、新聞の経済欄に載っている物価表に目を通すうち 『これだ!....