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物越し
「物越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ている次第です。二階の景色はよくてテーブルの右手の小窓をあけると、小学校の庭と建
物越しに下落合の高台が見え、六畳の方の小窓からもそれにつづいての景色が一望されま....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に、どこもかしこもよく整った、まことに品位の備わった、立派な御標致、そしてその御
物越しは至ってしとやか、私どもがどんな無躾な事柄を申上げましても、決してイヤな色....
「源氏物語」より 著者:紫式部
た。琴や笛の音《ね》の中にその方がお弾《ひ》きになる物の声を求めるとか、今はもう
物越しにより聞かれないほのかなお声を聞くとかが、せめてもの慰めになって宮中の宿直....
「源氏物語」より 著者:紫式部
辺に用のございましたついでに、寄って見ますと、平生の居間の中へは入れないのです。
物越しに席を作ってすわらせます。嫌味《いやみ》を言おうと思っているのか、ばかばか....
「源氏物語」より 著者:紫式部
みる気も何もなかったのである。命婦はそんなに源氏の望むことなら、自分が手引きして
物越しにお逢わせしよう、お気に入らなければそれきりにすればいいし、また縁があって....
「源氏物語」より 著者:紫式部
たのお間柄ではないのでございますから。あなた様が御衰弱していらっしゃいましても、
物越しなどでお話しになればいかがでしょう」 こう女房が夫人に忠告をして、病床の....
「源氏物語」より 著者:紫式部
が行くので、最後の会見をすることなどはどうだろうと躊躇《ちゅうちょ》しながらも、
物越しで逢うだけにとめておけばいいであろうと決めて、心のうちでは昔の恋人の来訪を....
「源氏物語」より 著者:紫式部
相談をされた。 「取り次ぎをもって話をするようなことでなく、そして直接といっても
物越しでいいのだが話さねばならぬ用が私にあるのだ。尚侍の承諾を得るようにしてくれ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
に、お目にかかって自身が好意を持たれようとは考えても何もいないのだよ。ただ一言を
物越しに私がお話しするだけのことで、宮様の尊厳をそこねることはないじゃないか。神....
「源氏物語」より 著者:紫式部
った。続いてあそばされたお物思いのせいかほっそりと痩せておいでになるのが、お召し
物越しに接触している大将によく感ぜられるのである。しめやかな薫香の匂いに深く包ま....
「蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
りと見えた。 「どうもすみません、お邪魔をさせていただきます」 女はおちついた
物越しであいさつをした。許宣はきまりがわるかった。彼はあわてて女のあいさつに答え....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
寒さを。覚えて、両手を胸に押しあてながら震えた。その時、懐に押し込んでる金入を着
物越しに感じて、それを机の上に抛り出すつもりで、懐から引出して、何の気もなく一寸....
「傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
だ。鉄筋の頭を、物にぶっつければ、その反動で、肩にずっしり喰いこんでるやつが、着
物越しに、肩当越しに、肉を破る。而も、ぶっつかる危険物は、足場の粗雑な組立のため....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ャールマーニュの庭から獅子《しし》の窖《あなぐら》へ、両者をへだてる六階建ての建
物越しに、一つの「御者」が投げ込まれたということである。
囚人らは、巧みに丸め....
「日蔭の街」より 著者:松本泰
つけられるように彼女のボックスの方へ歩いていった。品位《ひん》のいい容貌、優雅な
物越し、附添いの老婦人の態度などから推して、彼女はどうしても身分のある家の令嬢に....