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犇々
「犇々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
犇々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、往来のまん中へぴたりと車を止めるが早いか、四方から白刃《しらは》の垣を造って、
犇々《ひしひし》とそのまわりを取り囲みますと、先ず頭立《かしらだ》ったのが横柄に....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
き逢う駄馬が鬣を振わして雨の滴を顔のあたりへ飛ばせて来ることもある。蕭条たる気が
犇々と身に応えてくる。不図行手を眺めると、傍らの林間に白々と濃い煙が細雨の中を騰....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
ず。静と立ってると、天窓がふらふら、おしつけられるような、しめつけられるような、
犇々と重いものでおされるような、切ない、堪らない気がして、もはや! 横に倒れよう....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
った。いつしか左右の手にも藻は搦んだ。腰にも、腕にも、脇の下から斜に肩へ掛けても
犇々と搦んだ恐ろしい性の悪い藻で有った。 斯う見ては竜次郎、如何しても見殺しに....
「河童小僧」より 著者:岡本綺堂
引きあげると、思いきや此れは年頃二十三四とも見ゆる町人風の男で、荒縄を以て手足を
犇々と縛られたまま投込まれたものと覚しく、色は蒼ざめ髪は乱れ、二目と見られぬ無残....
「春の修善寺」より 著者:岡本綺堂
たない古い墓は、新しい大きい石の柱に囲まれていた。色々の新しい建物が丘の中腹まで
犇々と押つめて来て、そのなかには遊芸稽古所などという看板も見えた。 頼家公の墳....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
の大身の槍を奴に担がせながら、水野を案内して屋敷へ帰る途中、いい知れない寂しさが
犇々と彼の胸に迫って来た。 水野のほかに七人の客は座敷へ通された。賑かな酒宴は....
「倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
なく擽ぐったいので、誰も彼れもきゃっきゃっと云って逃げまわる。逃げると云っても、
犇々と押詰められている混雑のなかであるから自由に身をかわす余地はない。撫でられて....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
である。 その時、私たちは思い思いの防水用意をして、既に右舷のブリッジのそばに
犇々と詰めかけていた。 ランチは程よい距離に近づいたところで、曳綱のロップを放....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
は晩春初夏であった。老鶯も啼いていた。筏を見ては流転が思われ、旅と感じて行路難が
犇々と胸に浸みるのであった。 奈良井まで来た時友とも別れ、行雲流水一人旅となっ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
なく医学士に連れ出されて了った。
とさ、斯う思って居る中に早や外から入口の戸を
犇々《ひしひし》と締める音が聞こえる、サア大変だ。余は医学士に一ぱい陥《は》めら....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
絶した事を後悔しているらしく、殊に二年に余る行衛不明はだんだん年をとって行く身に
犇々とこたえると見えて、最近に一層猛烈にその行衛を尋ね出したのであった。 親の....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
との出来なかった事に、自責の念を感じた。彼が二川を愛することの足りなかった事が、
犇々と彼の心を責めた。 と同時に彼はふと可成重大な事に気がついた。それは彼が二....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
たのだろうか。それとも外の方法で境内へ潜り込んだか。境内に這入れば同僚の刑事達が
犇々と網を張っているのだから、捕まるに違いないのだが、今だに境内から何の知らせも....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
甲冑《かっちゅう》で、鎗《やり》や薙刀《なぎなた》、弓、鉄砲、昨日に変ること無く
犇々《ひしひし》と身を固めて主人に前駆後衛した事であろう。やがて前野に着く。政宗....