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犬の子
「犬の子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
犬の子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
火花のような物が、四方へ散乱するような心もちがした。――彼は戸口へ来ると同時に、
犬の子よりも造作《ぞうさ》なく、月の光を堰《せ》いた簾の内へ、まっさかさまに投げ....
「夢」より 著者:芥川竜之介
っている。」
「だって胞衣をかぶって生まれて来ると思うと、……」
「?……」
「
犬の子のような気もしますものね。」
わたしはまた彼女を前に進まないブラッシュを....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いないのです。影もない。姿もない。たしかに声も足音も聞こえたのに、人影はおろか、
犬の子すらも生き物の影は皆無でした。 「ちくしょうッ。気味のわるいまねをしやがる....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
あ、あとのふたりは、どうして置いてきたんだ」 「どうもこうもねえんですよ。ねこや
犬の子なら、三匹いようと八匹いようと驚くあっしじゃねえんだが、なにしろ人間の子と....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。ほんとうに気が変るっちゃありやしない。まるで猫の目ね。」 「違えねえ、猫の目の
犬の子だ。どっこい忙がしい、」 と荷を上げそうにするのを見て、 「待て、待て、....
「海底大陸」より 著者:海野十三
ルラ、こっちへ来い。いっしょにのもう」 マルラは事務長のやさしい言葉にあって、
犬の子のようにゴソゴソはいよっていった。 「さあ手を出して。ホラ、たばこを受け取....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
て遅い反応を示した。復一の家へ小さいバケツを提げて一人で金魚を買いに来た帰りに、
犬の子にでも逐いかけられるような場合には、あわてる割にはかのゆかない体の動作をし....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
たらないように壁に添うて大通りへ出た。いつもはにぎやかな大通りが、がらんとして、
犬の子一匹も通っていなかった。時々、銃声がぱッぱッぱときこえた。 「あれ見なさい....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
様痛いよ/\坊の父様はまだ帰えらないかえ、源ちゃんが打つから痛いよ、父の無いのは
犬の子だってぶつから痛いよ。オヽ道理じゃと抱き寄すれば其儘すや/\と睡るいじらし....
「火星探険」より 著者:海野十三
には、たくさんの火星の子どもが交《まじ》っていたが、彼等は身体がたいへん小さく、
犬の子ぐらいであった。しかし大きな頭に大きな目玉をぐるぐる動かし、短かい触手をふ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、嘘ばっかり。出も、入りも出来るものか、と思っていましたけれども、あの太さなら、
犬の子はすぽんと納まる。……修善寺は竹が名物だろうか、そういえば、随分立派なのが....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
何時の間にか忍び込んで来るような奴だ。高い声では言われんが、奥様が産んだのはあの
犬の子だぞい。俺はもうちゃんと見抜いている――オオ、恐い、恐い」 とおげんはわ....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
しめつつ這い出づ。衣形ほとんど血に濡れてあり。僧徒らはそのさま一つ腹より出でたる
犬の子らのごとく、われともなしに退り行き、上手二路の岐るるほとりに止まる。 妙念....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
にも余り見っとも好くない厭な犬であった。『平凡』では棄てられてクンクン鳴いていた
犬の子を拾って育て上げたように書いてあるが、事実は役所の帰途に随いて来た野良犬を....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
取り戻してから鶏の死んでいるのを見て、誰が殺したんだと云って大変悲しがりました、
犬の子を絞め殺したこともありました。一時の発作ですから、気が鎮まるとけろりとして....