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犬の遠吠え
「犬の遠吠え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
犬の遠吠えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放浪」より 著者:織田作之助
る月夜だった。下寺町から生国魂神社への坂道は人通りもなく、登って行く高下駄の音、
犬の遠吠え……そんな夜更けの町の寂しさに、ふと郷愁を感じ、兄よ、わりゃ死んだナ。....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
「稲荷ァりさん、え、いなァりさん――」の声なるべし。 もしそれこの合の手として
犬の遠吠えを加うれば、冬の情景ここにつくされて、限りなき淋しさを味うことが出来る....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ため夜中《やちゅう》のお調べでございます」 「ああ、天誅組の落人《おちうど》か」
犬の遠吠えもそれでわかった。 この晩、調べに来た役人というのは仰々《ぎょうぎょ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
場の後ろに消えてしまいました。 そこからは、加賀の白山まで見とおしの焼野原――
犬の遠吠えも遠のいて、拍子木の音も白み渡って、あたり次々に鶏の声が啼《な》き渡る....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。
それから……」
お銀様が書を進むると共に、夜が更けて行きましたが、遥かに
犬の遠吠えが聞えて来ました。
六十九
お銀様が、こうして....
「ある幻想曲の序」より 著者:寺田寅彦
。 日が陰って沼の面から薄糸のような靄が立ち始める。 再び遠くから角笛の音、
犬の遠吠えが聞えて来る。ニンフの群はもうどこへ行ったか影も見えない。(大正十二年八月『明星』)....
「梟雄」より 著者:坂口安吾
ばれて天下の精強をうたわれている彼の部下は充実しつつあるばかりだ。 信秀が負け
犬の遠吠えのように美濃の城下を遠まきに野荒しをやって逃げたのも笑止であるが、腹が....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ず、暗い空からは何ひとつの光りも見えないのです。そうして、あたりの静かなことは、
犬の遠吠え一つきこえず、なんの生き物の音もせず、まるで人気がないように感じられた....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
んな晩には寝た方がよい。ああせめてよい夢でも。……」 枕にはついたが眠れない。
犬の遠吠え、夜烏の啼く音、ギーギーと櫓を漕ぐ音。……隅田川を上るのでもあろう。 ....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
るぐらいでは仕様がない。お前たちも知っての通り、段九郎の山犬は狼の一族だ。あの山
犬の遠吠えをきくと、村や町の飼い犬は小屋へ隠れてふるえているということだ。今年は....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
足場の蔭だから鼻を摘まれてもわからないほどの暗さ。石川屋敷の方角で消え入るような
犬の遠吠え――。 と、この時、 「う、う、う、う――う。」 普請場の闇黒から....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
兵衛は急ぐともなく足を運んでいたが、ふとけたたましい烏の羽音とそれに挑むような野
犬の遠吠えとでわれにもなく立竦んだのだった。随全寺《ずいぜんじ》という法華宗の檀....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
如きは下弦の月鎌の如く樹頭に懸る冬の夜《よ》、広大なるこの辺《へん》の屋敷屋敷の
犬の遠吠え聞ゆる折なぞ市中とは思えぬほどのさびしさである。坂はまた土地の傾斜に添....
「放浪」より 著者:織田作之助
る月夜だった。下寺町から生国魂神社への坂道は人通りもなく、登って行く高下駄の音、
犬の遠吠え……そんな夜更けの町の寂しさに、ふと郷愁を感じ、兄よ、わりゃ死んだナ。....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
まって、闇をすかして見たり、聞耳をたててみたりした。だが、どこもひっそりとして、
犬の遠吠えよりほかには、なにも耳にはいらなかった。彼の家のそばに深い小川があって....