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狂気
「狂気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
狂気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
いらなかった。ただ見たのは、限りない夜である。夜に似た愛憎の深みである。太郎は、
狂気のごとく、弟の名を口外に投げると、身をのけざまに翻して、片手の手綱《たづな》....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、無数の犬、無数の人間が徒《いたず》らに尊い血を流した、――宿命的にあらゆる物を
狂気にさせる声援を与えた。
勿論この声援は二人の若者にも作用した。彼等は互に血....
「或る女」より 著者:有島武郎
う物も食わずに、浅ましくも男のために目のくらんだ自分の不覚を泣き悔やんだ。木部が
狂気のようになって、ようやく葉子の隠れ場所を見つけて会いに来た時は、葉子は冷静な....
「或る女」より 著者:有島武郎
その口に手をあてた。
「えゝ、殺すなら殺してください……くださいとも」
という
狂気じみた声をしっと制しながら、その耳もとにささやこうとすると、葉子はわれながら....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
の鼻が相手の馬の尻とすれすれになっていたが、やがて一歩一歩二頭の距離は縮まった。
狂気のような喚呼《かんこ》が夢中になった彼れの耳にも明かに響《ひび》いて来た。も....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
「発狂人!」 「ああ、狂人だ、が、他の気違は出来ないことを云って狂うのに、この
狂気は、出来る相談をして澄ましているばかりなんだよ。」 舌もやや釣る、唇を蠢か....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
ベルナルドーネのフランシスの面影はその後クララの心を離れなくなった。フランシスが
狂気になったという噂さも、父から勘当を受けて乞食の群に加わったという風聞も、クラ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
リア市を占領した後でそこの図書館を焼払った。彼の後継者たる代々の皇帝はひたすらに
狂気じみた享楽欲に耽溺の度を深めていった。こうして自然の研究者らは次第に跡を絶っ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
内証に秘していたんだそうですけれど、あの娘はね、去年の夏ごろから――その事で――
狂気になったんですって。」 「あの、綺麗な娘が。」 「まったくねえ。」 と俯向....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
執着と、愚癡と、卑劣と、悪趣と、怨念と、もっと直截に申せば、狂乱があったのです。
狂気が。」 と吻と息して、…… 「汽車の室内で隣合って一目見た、早やたちまち、....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
空間にただよっているばかりとなってしまった。そこで、その賢人は白髪の頭を掴んで、
狂気のように叫んだ。 「わたしには判らない。私には考える力がない。」 こうして....
「寡婦」より 著者:秋田滋
身がその熱でもえ、それがこの人たちを駆って、とんでもない熱狂的なことをさせたり、
狂気の沙汰とも云うべき献身的なことをやらせたり、果ては犯罪をさえ犯させるのでした....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
うしてどうしても三回、必ずポストを周って見る。それが夜ででもあればだが、真昼中|
狂気染みた真似をするのであるから、さすがに世間が憚られる、人の見ぬ間を速疾くと思....
「活人形」より 著者:泉鏡花
つ談話にするなれど、聞くもの誰も信とせず。思い詰めて警察へ訴え出でし事もあれど、
狂気の沙汰とて取上げられず。力無く生甲斐無く、漣や滋賀県に佗年月を過すうち、聞く....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
た事がある。 ナポレオンの立案せる計画は、当事者から即ち旧式用兵術の人々からは
狂気者の計画と称して実行不可能のものと見られたのである。ナポレオンは一七九六年三....