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「独り子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

独り子の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
きユダヤの伝説から、自分をキリストである、すなわち人間とは本来|品を異にせる神の独り子なる贖主と信じたのであろう。彼の高き権威はそこから出ているのである。パウロ....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
―序に私、山路さんとこでみんな言っちまった。世間で、私のことを「まあ御気丈な、お独り子を修行の為とは言え、よくあんな遠方へ置いてらしった。流石にあなた方はお違い....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
なれば、「目でさえも」ぐらいに訳してもいい。「言問はぬ木すら妹と背ありとふをただ独り子にあるが苦しさ」(巻六・一〇〇七)がある。一首は、取りたててそう優れている....
枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
ような事だけが、順序もなく浮んで来る。いったい自分は両親にとっては掛け替えのない独り子で、我儘にばかり育ったが、病気となると一層の我儘で手が付けられなかったそう....
鹿狩り」より 著者:国木田独歩
ゃって、おっかさんを初め僕もびっくりした。 鉄也さんというのは今井の叔父さんの独り子で、不幸にも四、五年前から気が狂って、乱暴は働かないが全くの廃人であった。....
同胞」より 著者:豊島与志雄
恒夫は四歳の時父に死なれて、祖父母と母とだけの家庭に、独り子として大事に育てられてきた。そして、祖父から甘い砂糖菓子を分けて貰い、祖母....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
。東洋のシェクスピヤというような、輝かしいあだ名のあった天才を生んで、しかもその独り子が、色白で美しくって、親孝行で、口答えもしないで、他家《よそ》の女の子より....
地上」より 著者:島田清次郎
少なくともこのまま滅亡するのを待っているよりはよい、と。そうしてこの生活の闘いと独り子の心配とが彼女の生来の娼婦や淫売に対する本能的な嫌悪と同情とを忘却せしめた....