狸寝入り[語句情報] » 狸寝入り

「狸寝入り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

狸寝入りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宝蔵の短刀」より 著者:田中貢太郎
。 益之助は先刻の枕のままで眠っていた。女房は己《じぶん》に秘密を知られたので狸寝入りをしていはしないかと思って、冷笑を浮べてその顔を見ていたが、益之助は何事....
斜陽」より 著者:太宰治
海の表面の波は何やら騒いでいても、その底の海水は、革命どころか、みじろぎもせず、狸寝入りで寝そべっているんですもの。 けれども私は、これまでの第一回戦では、古....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てトントンと戸を叩きましたけれど起きませんでした。大抵の場合には、時刻を過ぎては狸寝入りをして、知っていても起きないことがあるのでしたから、慢心和尚は、やや荒く....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
られぬ。暗くなるまで、ここで一眠りさせていただきましょう。」と、これはまたつらい狸寝入り、陰陽、陰陽と念じて、わが家の女房と全く同様の、死んだ振りの形となった。....
乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
共が、深夜そうっと抜け出して来て、ブン殴っておいて、またこっそりと監房へ帰って、狸寝入りをしている、と云う考えは穿ちすぎていた。けれども、前々からそう云う計画が....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、奴等の気を腐らせてやれと、兵馬も相手が相手だけに、兵馬としては似合わしからぬ、狸寝入りを試みているうちに本物になって、寝耳のところに、 「兵馬、仏頂寺と、丸山....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ります」 「それは誰だ」 「あの時に、どなたか知りませんが、物臭太郎のお茶屋に、狸寝入りなんぞきめ込んでいらっしゃったお方がございましたね」 「うむ」 「そのお....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
がうらしい竜之助は、左の親指を刀の鍔《つば》にあてがって立っています。もし米友が狸寝入りをしているものならば、竜之助はこれを斬ってしまうつもりでしょう。幸いにし....
丹下左膳」より 著者:林不忘
うとしているのだが、外観《そとみ》はどこまでも熟睡《じゅくすい》の態《てい》で、狸寝入りの泰軒先生、やにわに寝語《ねごと》にまぎらしてつぶやき出したのを聞けば、....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ません。すぐさま、わざとスヤスヤと小さないびきを聞かせて、薄眼をあけ、じょうずな狸寝入り。 見られているとも知らず、左膳、口に筆をかんで、いやに深刻な顔で巻紙....
女と帽子」より 著者:豊島与志雄
れにきいたんだが、明かに僕のことだった。話してるのは波江と平賀なんだ。僕は苦しい狸寝入りを続けて、やがて呼び起されるまでじっとしていた。起き上ると、黙って出てい....
囚われ人」より 著者:豊島与志雄
くなるって、本当かね。 時彦――俺は嘘は言わない。 煙吉――それじゃあ此奴、狸寝入りか。 煙吉は議一の背中を殴る。他の者も一緒になって殴る。議一は眼を覚し....
」より 著者:織田作之助
水し、安二郎は男だてらにお君の背中を流した。そのあと、豹一がはいる番だが、豹一は狸寝入りして、呼ばれても起きなかった。 だんだんに憂鬱な少年となり、やがて小学....
ロウモン街の自殺ホテル」より 著者:牧逸馬
ニスタアが、コルトの自動|短銃《ピストル》と懐中電燈を抱いて、三階十四号の寝台に狸寝入りをしている時――音もなく壁の一部が滑って、そっと、黒い人数を吐き出してい....
アパートの殺人」より 著者:平林初之輔
しいのです。 私は「みさちゃん」と二度よんでみましたが、返事がないので、きっと狸寝入りをしてるんだろうと思って、そばへ寄って、頭にかぶっている布団をあげてみま....