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狽
「狽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
狽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
《りょばつう》の眉の間を見ながら、こう云った。呂馬通は何故《なぜ》か、いささか狼
狽《ろうばい》したらしい。
「それは強いことは強いです。何しろ塗山《とざん》の禹....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
んがべい》の前に佇《たたず》んだまま、彼等の馬車に目礼していた。重吉はちょっと狼
狽《ろうばい》し、彼の帽を上げようとした。しかし彼等を乗せた馬車はその時にはもう....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
調子の狂っていることは前と一向変りはない。彼は老人とは思われないほど、心の中で狼
狽《ろうばい》し出した。
「このもう一つ前はどうだろう。」
彼はその前に書いた....
「春」より 著者:芥川竜之介
しょう?」
篤介はただ「ええ」と答えた。彼女はこの「ええ」の中にはっきり彼の狼
狽《ろうばい》を感じた。のみならずこの一瞬間に彼の段鼻《だんばな》だの、金歯《き....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
。それから少時《しばらく》すると、赤い顔をした男が、幕の中から首を出して、さも狼
狽したように手を動かしながら、早口で何か船頭に云いつけた。すると、伝馬はどうした....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
はほんの少しですが、東京|行《ゆき》の汽車賃に使って下さい。」
保吉は大いに狼
狽《ろうばい》した。ロックフェラアに金を借りることは一再《いっさい》ならず空想し....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
かり前に離縁をした。』と、きっぱりと答えたじゃありませんか。私はこの意外な答に狼
狽《ろうばい》して、思わず舷《ふなばた》をつかみながら、『じゃ君も知っていたのか....
「貉」より 著者:芥川竜之介
二度三度と問いかけられると、答えない訳には行かない。人の声ではないそうな。――狼
狽《ろうばい》した余り、娘はこう誤魔化《ごまか》した。
そこで、人でのうて何が....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
。殊に七たび目に曲ったのはもう逃げ道のない袋路《ふくろみち》である。如来は彼の狼
狽《ろうばい》するのを見ると、路のまん中に佇《たたず》んだなり、徐《おもむ》ろに....
「白」より 著者:芥川竜之介
んまくを見せているのです。子供たちは四方《しほう》へ逃げ散りました。中には余り狼
狽《ろうばい》したはずみに、路《みち》ばたの花壇へ飛びこんだのもあります。白は二....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
つ》らしい娘に違いなかった。彼は彼女と眼を合わすと、何故《なぜ》と云う事もなく狼
狽《ろうばい》した。が、それだけに、また一方では、彼女の前にその慌《あわ》て方を....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
た。
「音が違うな、二十八|珊《サンチ》は。――」
田口一等卒はこう云うと、狼
狽《ろうばい》したように姿勢を正した。同時に大勢《おおぜい》の兵たちも、声のない....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
ふすま》をあけていきなり顔を出したのは下の部屋にいるM子さんです。僕はちょっと狼
狽《ろうばい》し、莫迦莫迦《ばかばか》しいほどちゃんと坐り直しました。
「あら、....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
こか見えなくなってしまった。
ところが、伴をしていた黒木閑斎が、不意の大変に狼
狽《ろうばい》して、大広間の方へ逃げて行ったなり、これもどこかへ隠れてしまったの....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
駈けヘッセ人」がまたもや夜ごとの徘徊にさまよいでてきたのではないかと、すっかり狼
狽してしまうのだった。 しかし、こういうことも夜だけの恐怖にすぎず、心の迷いで....