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猛獣
「猛獣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猛獣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
が倉地事務長だった。横浜の桟橋につながれた絵島丸の甲板《かんぱん》の上で、始めて
猛獣のようなこの男を見た時から、稲妻のように鋭く葉子はこの男の優越を感受した。世....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た。不意を喰《くら》って倒れんばかりによろけた佐藤は、跡も見ずに耳を押えながら、
猛獣の遠吠《とおぼえ》を聞いた兎《うさぎ》のように、前に行く二、三人の方に一目散....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
事も得しないで、力なく漂う船の前まで来ると、波の山は、いきなり、獲物に襲いかかる
猛獣のように思いきり背延びをした。と思うと、波頭は吹きつける風にそりを打って※と....
「海異記」より 著者:泉鏡花
と、愛らしき乳児を残して、日ごとに、件の門の前なる細路へ、衝とその後姿、相対える
猛獣の間に突立つよと見れば、直ちに海原に潜るよう、砂山を下りて浜に出て、たちまち....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は、異分子の侵入した帝都の空を嘗めまわした。 その合間、合間に、高射砲の音が、
猛獣のように、恐ろしい呻り声をあげた。 それは、人間の反抗感情というのでもあろ....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
口から過ぎこしかたの冒険談をきくことを、このうえもなくよろこんだ。 アフリカの
猛獣狩り、熱帯での鰐退治、サワラ砂漠の砂嵐、さてはまた、嵐に遭遇して、無人島へ吹....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
宙艇があるじゃないか。わしのにらんだところによると、宇宙のどこかに、兇悪な宇宙の
猛獣とでもいうべき奴がひそんでいて、みんなそれに喰われてしまうんだどおもうよ」 ....
「恐竜島」より 著者:海野十三
ケットから四角なかたそうなビスケットを出して……。 「ねえ、隊長。恐竜てえのは、
猛獣の部類なのかね。それとも馬や水牛《すいぎゅう》なみかね」 監督ケンが、たず....
「火星探険」より 著者:海野十三
かろうか。ちょうどわれら人類の祖先が、かの有史前において、昼といわず夜といわず、
猛獣毒蛇の襲撃にあい、毎日の如く大きい犠牲を払いながら苦闘と忍耐とをつづけたよう....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
る。 これにはたじろいだ。 「牛飼も何もいない。野放しだが大丈夫かい。……彼奴
猛獣だからね。」 「何ともしゃあしましねえ。こちとら馴染だで。」 けれども、胸....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
と思った刹那、が、が、がーんと百雷が一時に落ちたような大爆音! 空気は裂けて、
猛獣のように荒れ狂った。鼻をつく硝煙、真赤な火焔、ひっきりなしの爆音、それに呼応....
「競馬」より 著者:犬田卯
い顔がぱっと現れた。彼は店先の柱につかまって両眼をぐりぐりと剥いたが、次ぎの瞬間
猛獣のように咆哮した。「よし、畜生、取っつかめえて叩っ殺してやる。どこまででも畜生、東京まででも追って行んから……」....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
、スケッチに捉えます。衣裳風俗も覚えてまいります。時には映画も、見にまいります。
猛獣の写真、海底の採魚など生態がわかって、面白うございますし、美しい景色の画面と....
「迷信解」より 著者:井上円了
の爪というものがある。その色青黒く、石のごとくにして、先の方|尖り後ろの方広く、
猛獣の爪のごとくに見ゆ。これは雷斧、雷楔のたぐいにて、石器時代の遺物であるという....
「活人形」より 著者:泉鏡花
と。と言わるるごとにひやひやと身体に冷たき汗しっとり、斬刻まるるよりつらからめ。
猛獣|犠牲を獲て直ぐには殺さず暫時これを弄びて、早|慊りけむ得三は、下枝をはたと....