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猫撫で声
「猫撫で声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猫撫で声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「乞食学生」より 著者:太宰治
ふてくされたものの言いかたをするものじゃないよ。君らしくも無いじゃないか。」 「
猫撫で声は、よしてくれ。げろが出そうだ。はっきり負けた奴に、そんなに優しくお説教....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
都々逸の文句と言われる。どうしてもそれは「待つ夜のロング」と言わねばならない。「
猫撫で声」というような文句ももはや眠たいとされるようになった。どうしてもそれは「....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
ア坊のあわれな誇りをいたわらなければならぬ義務がある。僕は、それこそ、まさしく、
猫撫で声を出して、 「さっきは、ごめんね。あの歌の意味はね、」と言いかけたら、 ....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
てやろうというんじゃあねえか? 出ろ! 山ノ宿も、糞もあるものか?」
後棒が、
猫撫で声で、
「さあ、兄貴が、あんなにおこるじゃあねえか――騒いで見たってここは....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
の人に対するように、両手を前に束ねて、今までよりも一層親切な響をこめながら、殆ど
猫撫で声かと思われる口調で私を慰めた。
「御尤もです。重々、御尤もです。どなたで....
「支那米の袋」より 著者:夢野久作
いけど……。 そうするとヤングは、長い長い大きな溜め息を一つしてから、静かな、
猫撫で声かと思うくらい優しい口調で、こんなお説教を妾にして聞かせたの。上品な露西....
「洋灯」より 著者:横光利一
は寄りつかなかったが私の母だけこことも仲良く交際していた。むかしはここは貧乏で、
猫撫で声のこの伯母は実家の祖父の家から、許可なく魚屋へ逃げるように嫁いだのだとい....
「旅愁」より 著者:横光利一
つ浮き上っていた。久慈と東野にもそれぞれ煙草をせがんでいる女たちも、両肩をすぼめ
猫撫で声で煙草をくれとせがんだ。久慈ら三人は顔を同様に顰めながら黙って煙草を出し....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
杖を引き、片膝を突くと首を延ばし、愛想笑いを眼に湛え、その眼で桔梗様の顔を覗き、
猫撫で声で云い出したのである。 「立派なお心掛けでございますよ。そうでなければな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たが、それでも踏みこわすほどのことはなく、やがて、おとなしくなって、わざとらしく
猫撫で声、 「神尾の殿様、憎いのはこいつばかりじゃございません」 「まだ憎み足り....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
判ではない、たしかに猫に鰹節ですが、この猫は牙を鳴らして、飛びかかりはしないが、
猫撫で声をして、 「七兵衛さん、眩《まぶ》しくってたまらないから、蝋燭《ろうそく....
「魔都」より 著者:久生十蘭
い。ひとつ、あっしにやらして見ておくんなさい」
花の方へ向き直ると乙にからんだ
猫撫で声で、
「お花ちゃんや、どうせいわせずには置かねえのだから、器用に言ってお....
「昆虫図」より 著者:久生十蘭
て、すさまじい団六の怒号がきこえてくるようなこともあったが、青木の前では、互いに
猫撫で声でものを言い合っていた。 十一月のはじめ、青木は東北の旅から帰り、その....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
ンだ大きな顔を出した。小作達だと分ると、瞬間イヤな顔をした。 「何んだな。」 (
猫撫で声だぞ!) 「ハ、別に……。」 お客がいた。――H町の警察署長だった。健....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
はまた一種違った味をもっていた。かれの蝙蝠安は松助よりももっとおとなしい、始終|
猫撫で声で物をいうような忌な奴であった。鶴蔵といい、伝五郎といい、こういう芸風の....