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猫板
「猫板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猫板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
な肩も、重苦しく感じた胸もすがすがしくなって、かなり強い疲れを一時に感じながら、
猫板《ねこいた》の上に肘《ひじ》を持たせて居ずまいをくずしてもたれかかった。古び....
「道草」より 著者:夏目漱石
》っていた。その時柴野は隊から帰って来た身体を大きくして、長火鉢《ながひばち》の
猫板《ねこいた》の上にある洋盃《コップ》から冷酒《ひやざけ》をぐいぐい飲んだ。御....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
もんだと思って。」 十四 「坂の中途で――左側の、」 と長火鉢の
猫板を圧えて言う。 「樹の根が崩れた、じとじと湿っぽい、赤土の色が蚯蚓でも団った....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
る様子が不安そうな目の色に見えた。 お作は番茶を淹れて、それから湿った塩煎餅を
猫板の上へ出した。新吉は何やら考え込みながら、無意識にボリボリ食い始めた。お作も....
「爛」より 著者:徳田秋声
始終そう言っていた浅井の頭脳に、お今のことが、時々考えられた。 三十五
猫板のうえで、お増が途中から買い込んで来た、苦い羊羹などを切って、二人は茶を飲み....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
◇ 夕方になると翁は一合入の透明な硝子燗瓶に酒を四分目ばかり入れて、
猫板の附いた火鉢の上に載せるのをよく見受けた。前記喜多六平太氏の談によると翁は七....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
と入る。直ぐそこの長火鉢を取巻いて、三人ばかり、変な女が、立膝やら、横坐りやら、
猫板に頬杖やら、料理の方は隙らしい。……上框の正面が、取着きの狭い階子段です。 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。一本だと寺を退く坊主になるし、三本目には下り松か、遣切れない。」 と握拳で、
猫板ドンとやって、 「糸ちゃん! お互にちっと植上げをする工夫はないかい。」 ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
を見やりますと。
左膳はそれも聞こえないのか。
知らぬ顔の半兵衛で、長火鉢の
猫板に巻紙をとりだし、硯に鉄瓶のしたたりを落として、左手で墨をすりはじめている。....
「変な男」より 著者:豊島与志雄
、襖をさらりと引開けて、二三歩進んだ。澄子もその後に続いて駈け出た。玄関の火鉢の
猫板によりかかって、今井が泣いていた。二人が飛び出したのにも顔を挙げないで、
猫板....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
家へはいると、里好先生の心づくしの、貧しい朝飯が待っていた。 こう差し向かいで
猫板の上を突ついているのだが、里好師がすっかり解脱《げだつ》しているだけに、双方....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
端書を手早く四つに折って帯の間へ蔵うと、火鉢に凭れて火をせせり出す。 長火鉢の
猫板に片肱突いて、美しい額際を抑えながら、片手の火箸で炭を突ッ衝いたり、灰を平し....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
が燈明の熱に解けて自然《ひとりで》に伸縮《のびちぢみ》して動き出したあの片頬と、
猫板の上に遺して行ったおりんの墨跡とが、掻き消すように失くなっていたことだった。....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
かみきれ》を窓に差入れて行った者がある。同時にお雪が帰って来て、その紙を取上げ、
猫板の上に置いたのを、偸見《ぬすみみ》すると、謄写摺《とうしゃずり》にした強盗犯....
「黄灯」より 著者:田中貢太郎
また女房から臆病だとか何んとか云って嘲られるので、しかたなしに体を起して長火鉢の
猫板の上に乗っているマッチを持ち、土間へおりて爪立つようにして瓦斯のねじを撚り、....