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「猫柳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

猫柳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お時儀」より 著者:芥川竜之介
ことはない。それが今不意に目の前へ、日の光りを透《す》かした雲のような、あるいは猫柳《ねこやなぎ》の花のような銀鼠《ぎんねずみ》の姿を現したのである。彼は勿論「....
ごんごろ鐘」より 著者:新美南吉
した。 川《かわ》の堤《つつみ》に出《で》たとき、紋次郎君《もんじろうくん》が猫柳《ねこやなぎ》の枝《えだ》を折《お》って来《き》て鐘《かね》にささげた。ささ....
汽笛」より 著者:佐左木俊郎
まりだった。水面には棒切れや藁屑《わらくず》が浮いていた。岸に幾株かの青い若葉の猫柳。叢《くさむら》の中からは折り折り蛙が飛び込んだ。鈍い水の音を立てて。 清....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えないで、型ばかりの垣のなかにはかなりに広い空地《あきち》を取っていた。葉のない猫柳の下に井戸があって、女房らしい二十四五の女が何か洗い物をしていた。 案内を....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
彼は二十三四の職人であるが、しるし半纒の仕事着も着ないで、唯の浴衣を着たままで、猫柳の下にぼんやりと突っ立って、他人の仕事を眺めていた。よく見ると、かれは右の手....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。 わたしは麻布にある間に『十番随筆』という随筆集を発表している。その後にも『猫柳』という随筆集を出した。しかも「十番雑記」の一文はどれにも編入されていない。....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
日も雲雀が頻に鳴く。 午食前に、夫妻鶴子ピンを連れて田圃に摘草に出た。田の畔の猫柳が絹毛の被を脱いで黄ろい花になった。路傍の草木瓜の蕾が朱にふくれた。花は兎に....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
人が、手鞠を拾ったちゅうはどこらだっけえ。」 「直きだ、そうれ、お前が行く先に、猫柳がこんもりあんべい。」 「おお、」 「その根際だあ。帽子のふちも、ぐったり、....
海の使者」より 著者:泉鏡花
ら這い上がって、其処らへ樹上りをする……性が魚だからね、あまり高くは不可ません。猫柳の枝なぞに、ちょんと留まって澄ましている。人の跫音がするとね、ひっそりと、飛....
霧の中」より 著者:豊島与志雄
音がしてるだけで、しいんとした夜である。水は川にも田にも満々と湛えている。川辺の猫柳が奇怪な形で蹲っている。時とすると、行手の道の上に、小坊主がすっくと立って、....
吹雪のユンクフラウ」より 著者:野上豊一郎
てた板敷の床にテイブルが白布を掛けられて幾つも列んで居り、どのテイブルにも銀色の猫柳が二三本ずつ花瓶に※されてあった。ブラジルのジャーナリストが私たちの食卓に坐....
十番雑記」より 著者:岡本綺堂
ある。 私は麻布にある間に『十番随筆』という随筆集を発表している。その後にも『猫柳』という随筆集を出した。しかも「十番雑記」の一文はどれにも編入されていない。....
里の今昔」より 著者:永井荷風
《ひとすじ》の溝渠が横わっていた。毒だみの花や、赤のままの花の咲いていた岸には、猫柳のような灌木が繁っていて、髪洗橋《かみあらいばし》などいう腐った木の橋が幾筋....
日和下駄」より 著者:永井荷風
蔽《おお》う樹木とは殊に気高《けだか》く望まれる。私は火避地のやや御所の方に近く猫柳が四、五本乱れ生じているあたりに、或年の夏の夕暮雨のような水音を聞付け、毒虫....
贋物」より 著者:葛西善蔵
て鉄道線路を越えて、遠く川の辺まで寒い風に吹かれながら歩き廻った。そして蕗の薹や猫柳の枝など折ってきたりした。雪はほとんど消えていた。それでも時には、前の坊主山....