猫背[語句情報] » 猫背

「猫背〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

猫背の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
しているであろう。色の黒い、近眼鏡《きんがんきょう》をかけた、幾分《いくぶん》か猫背《ねこぜ》の紳士《しんし》である。由来《ゆらい》保吉の勤めている海軍の学校の....
日光小品」より 著者:芥川竜之介
外の光になれた私の眼には家の中は暗くて何も見えなかったが、その明るい縁さきには、猫背《ねこぜ》のおばあさんが、古びたちゃんちゃんを着てすわっていた。おばあさんの....
深夜の市長」より 著者:海野十三
伸ばして、ツーンと立った。しかし見れば気の毒なくらい脊柱が曲り、早く云えば著しい猫背だった。そのとき五燭ぐらいの薄明りに、始めて彼の顔を正視したが、それはへちま....
蠅男」より 著者:海野十三
たように、夜の動物園のなかにうろついていた疑問の人物であろう。 老紳士はすこし猫背の太った身体の持ち主だった。頭の上にチョコンと小さい中折帽子をいただき、ヨチ....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
渡さなければ、あなた様のご心痛もなくて済むわけでしょう」 黒眼鏡をかけたひどい猫背の探偵は事もなげに、こういった。 「ええっと何と仰有る」と苅谷氏は驚愕のあま....
心臓盗難」より 著者:海野十三
深夜の事件 黒眼鏡に、ひどい猫背の男が、虎猫色の長いオーバーを地上にひきずるようにして、深夜の町を歩いていた....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
ら、何とかしてあげたいものだ。どうするかね、これは……」 烏啼の心友は、ひどい猫背を一層丸くしてしばらくじっと考えこんでいたが、やがて彼は黒眼鏡の奥に、かっと....
暗号の役割」より 著者:海野十三
足で立上ることができた。ただし彼の背は丸く曲ったままであった。だがこれは元々彼が猫背のせいなので、なにも今夜に始まったことではない。 彼は長時間厄介になった八....
すり替え怪画」より 著者:海野十三
で、よき名探偵の斡旋を乞うた、その結果、一人の探偵が、伯爵のわび住居に現われた。猫背で、長いオーバーを引摺るように着、赭顔に大きな黒眼鏡をかけた肥満漢であった。....
火星探険」より 著者:海野十三
ー博士は、頬髭《ほほひげ》顎髭《あこひげ》の中から、疲れた色を見せていた。長身|猫背《ねこぜ》を丸くし、右手ににぎったステッキで歩行をたすけている。これが、かの....
火葬国風景」より 著者:海野十三
ちがったのだった。その男というのがまた奇妙な人物だった。非常に背が高くて、しかも猫背で、骨と皮とに痩せていた。眼の下には黒い隈が太くついていて、頬には猿を思わせ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、股引の裾をぐい、と端折った処は豪勢だが、下腹がこけて、どんつくの圧に打たれて、猫背にへたへたと滅入込んで、臍から頤が生えたようです。 十四五枚も、堆く懐に畳....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いあわれな媚で、わざと濡色の髱を見せる。 「うふふ。」と鳥打帽の頭を竦めて、少し猫背で、水道橋の方へ出向いたあとで。…… 四 遅い午餉だったから....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
はある日母がその服を著て、「ロベエルや、よござんすか、体躯をまッすぐにしてないと猫背になってしまって、一生なおりませんよ」と、私に云っていたその言葉を思い出した....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
維新」前後には彰義隊に加わる志を持っていた。最後に僕の知っている頃には年をとった猫背の測量技師だった。「大溝」は今日の本所にはない。叔父もまた大正の末年に食道癌....