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猶
「猶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
好都合《こうつごう》に出来上っている。君はまだ高等学校にいた時、僕に「さまよえる
猶太《ユダヤ》人」と云う渾名《あだな》をつけたのを覚えているであろう。実際僕は君....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、一時は私の甥も途中から引き返そうと致しましたが、よもやに引かされて、しばらくは
猶も跡を慕って参りますと、丁度|油小路《あぶらのこうじ》へ出ようと云う、道祖《さ....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
味を感じた。しかし勿論幸福らしい老人などには興味を感じなかった。
「あの爺さんは
猶太《ユダヤ》人だがね。上海《シャンハイ》にかれこれ三十年住んでいる。あんな奴は....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
弁するだけの理由はない。それにも関らず、己はその嘘だと云う事を信じていた。今でも
猶《なお》信じている。
が、この征服心もまた、当時の己を支配していたすべてでは....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
い》、宇宙の神聖、この宝香《ほうこう》を聞いて、願《ねがわ》くは降臨を賜え。――
猶予《ゆうよ》未だ決せず、疑う所は神霊に質《ただ》す。請う、皇愍《こうびん》を垂....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
ものもの》しげに、三人の前へ進みよると、天主のおん教を捨てるか捨てぬか、しばらく
猶予《ゆうよ》を与えるから、もう一度よく考えて見ろ、もしおん教を捨てると云えば、....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
場合に立ち至って見れば、その汚名も受けずには居《お》られますまい。まして、余人は
猶更《なおさら》の事でございます。これは、仇討《あだうち》の真似事を致すほど、義....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
少しも偶然ではない。
「君は今現に、南洲先生を眼《ま》のあたりに見ながら、しかも
猶《なお》史料を信じたがっている。」
老紳士はウイスキイの杯を取り上げながら、....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《もすそひも》を取り乱した、寝起きらしい娘であった。そうしてまたある者は弓よりも
猶《なお》腰の曲った、立居さえ苦しそうな老婆であった。彼等は草山の上まで来ると、....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
》の語る言葉を借りれば、
「天に仰ぎ地に俯《ふ》し、悲しみ給えどかいぞなき。……
猶《なお》も船の纜《ともづな》に取りつき、腰になり脇になり、丈《たけ》の及ぶほど....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
憎いとは思わぬ筈じゃ。修理は、宇左衛門を親とも思う。兄弟とも思う。親兄弟よりも、
猶更《なおさら》なつかしいものと思う。広い世界に、修理がたのみに思うのは、ただそ....
「運」より 著者:芥川竜之介
ましたが、生憎《あいにく》の暗で、相手の男の顔も見えなければ、着ている物などは、
猶《なお》の事わかりませぬ。ただ、ふり離そうとする拍子に、手が向うの口髭《くちひ....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
基督《キリスト》教国にはどこにでも、「さまよえる
猶太人《ゆだやじん》」の伝説が残っている。伊太利《イタリイ》でも、仏蘭西《フラン....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
肚の底は見かけよりも、遥に細い神経のある、優しい人のような気がして来た。勿論今後
猶接して見たら、又この意見も変るかも知れない。が、差当り僕の見た小杉未醒氏は、気....
「佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
、されば作品の特色もその詩的なる点にあり。詩を求めずして佐藤の作品を読むものは、
猶|南瓜を食わんとして蒟蒻を買うが如し。到底満足を得るの機会あるべからず。既に満....