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猶
「猶更〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猶更の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
場合に立ち至って見れば、その汚名も受けずには居《お》られますまい。まして、余人は
猶更《なおさら》の事でございます。これは、仇討《あだうち》の真似事を致すほど、義....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
憎いとは思わぬ筈じゃ。修理は、宇左衛門を親とも思う。兄弟とも思う。親兄弟よりも、
猶更《なおさら》なつかしいものと思う。広い世界に、修理がたのみに思うのは、ただそ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
運命がきまるのだと思うと、心細いともつかず、もどかしいともつかず、そうかと云って
猶更《なおさら》また嬉しいともつかず、ただ妙にわくわくした心もちになって、帳面も....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
風はして居らぬ。予は全く自分のひがみかとも迷う。岡村が平気な顔をして居れば、予は
猶更平気な風をしていねばならぬ。こんな馬鹿げた事があるものか。 「君此靄※は一寸....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
。奇怪至極のことである。いよいよ打っちゃっては置かれないと思った。 「それならば
猶更のことだ。早く主人に逢わせてくれ」 十一 栄之丞は奥へ通されて、....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
《おんびん》の沙汰をと工夫しておったる折りからじゃ。彼が二度の祈祷を願うとあれば
猶更のこと、なんとかして彼を救わねばなるまい。して、関白殿よりは今になんの沙汰も....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
ようだが、あまりに哀れだから放してやりたい。ただそれだけのことだ」 「それならば
猶更のこと。お身がその鶯にあくまでも未練が残って、買い取って我が物にしたいと言っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を下げてくれぐれも半七に頼んだのである。まして自分は当の責任者である以上、平助は
猶更にこの半七を味方と頼んで、万事の相談や打ち合わせを自分から進めそうなものであ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
りは細川の下屋敷と来ているんだから、誰も見つけた物がねえ。殊にうす暗い時刻ならば
猶更のことで、鳥の羽音もなんにも聞いた者はあるめえ。それからどうしたか勿論わから....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
いかと思っています。こんなことを仕出来して、あいつも可哀そうですけれど、奥さんは
猶更お可哀そうですよ。奥さんは全くなんにも御存じないんですから。」 この前にも....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
心臓の鼓動を持っていても、二人とは同じ顔の持ち主はいないのである。個人については
猶更のこと、身の廻りのものを限りなく変えて、あらゆる美しさを見せなければならない....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
に質問するわけにはゆかない。殊に今度初めて投宿した家で、双方の馴染みが浅いだけに
猶更工合が悪い。さりとてこのままに見過すのも気が咎める。せめては番頭にでも内々で....
「牛」より 著者:岡本綺堂
。これだけの騒動を起した以上、牛の罪ばかりでは済まされない。殊にこっちが大家では
猶更のことだ。」 「そうですか。成程これで、牛と新年と芸者と……。三題話は揃いま....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
虎松は、実子で有りながら、どうも邪慳で、ちっとも大師匠の面倒を見ませんので、私は
猶更気の毒で成りません。夢見の悪さがつづくので、江戸へ見舞に帰るとしても、そんな....
「怪談劇」より 著者:岡本綺堂
怪談の凄味を見せようとするのは、昔でもなかなかむずかしく、殊に現代の舞台の上では
猶更むずかしそうである。いかに照明などを巧みに利用しても、あまり良い効果を得られ....