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「猿猴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

猿猴の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ある。勿論、その顔を覗くだけのことで、ほかにはどうにも仕様がないのであるが、かの猿猴が水の月をすくうとおなじように、この姉妹も水にうつる二つの美しい顔をすくい上....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は犯人だと信じているくらいですわ。それに、今日の事件だってそうですわ。あの赤毛の猿猴公が射られた狩猟風景にだっても、私だけには、不在証明というものがございません....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
、御存じの如く某は三ヶ年濃州に罷在りて信長の処置を見覚えて候ふが、心のはやきこと猿猴の梢を伝ふ如き振舞に候へば三田村まで御陣替あらば必ずその手当を仕り候ふべし。....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
軍国の大事もあるいは耳に入るうらやましき地位に巣くいたり。 この上は結婚なり。猿猴のよく水に下るはつなげる手あるがため、人の立身するはよき縁あるがためと、早く....
廃墟から」より 著者:原民喜
なくなる。そこで私は断念して、行列を離れた。 家の跡を見て来ようと思って、私は猿猴橋《えんこうばし》を渡り、幟町《のぼりちょう》の方へまっすぐに路《みち》を進....
永遠のみどり」より 著者:原民喜
た。それから三人はぶらぶらと広島駅の方まで歩いて行った。夜はもう大分遅かったが、猿猴橋《えんこうばし》を渡ると、橋の下に満潮の水があった。それは昔ながらの夜の川....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
に貯蓄《たくわえ》の手薄になるところから足掻《あが》き出したが、さて木から落ちた猿猴《さる》の身というものは意久地の無い者で、腕は真陰流に固ッていても鋤鍬《すき....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
さは、どうしてどうして人間|業じゃねえ」 「あいつにゃ俺らも喫驚りした。こう全然猿猴だったからな」 「そう云えば長さ三間もある恐ろしいような蟒を、細工物のように....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
に違わなかったように思えた。眼は青かったが、その眼は高すぎる鼻の方へ引っぱれて、猿猴《えんこう》にも似ていたが、見ようでは高僧にでもありそうな相もあった。やや下....
話の種」より 著者:寺田寅彦
六十一 猿と蛇 いろいろの動物について試験してみると、蛇を怖れるは猿猴の類に限る、但しその中で狐猿という一種のみは蛇をしかけても平気だという。 ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
されることだろう。でも今は女王様に抱かれている。……沼では水牛が水を飲み、林では猿猴が眠っている。そうして荒野の洞窟では、魔女が十三の髑髏を並べて、人の生命を占....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
で、色は黒、花では紫苑《しおん》。犬飼現八《いぬかいげんぱち》は森田思軒で、紫に猿猴杉《えんこうすぎ》。犬塚|信乃《しの》が尾崎紅葉で緋色《ひいろ》と芙蓉《ふよ....
艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
囃子』中へ収めたら、さっそく長谷川伸先生からお手紙を給わり、日本太郎の針金渡りは猿猴《えんこう》栄次のイミテーションであると教えていただいた。 が、不敏なる私....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
光の放射せるを見るは、すこぶる壮快なり。午後、大人が鶏の形を擬してすもうをなし、猿猴の水を泳ぐ形を装って競走せるは、大喝采を博せり。 三日、晴れ。北風暖を吹き....