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獄裡
「獄裡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
獄裡の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
と全く無関係に生きて行く異邦の旅人としての自分の身をその客舎に見つけた。あだかも
獄裡《ごくり》に繋《つな》がるる囚人《しゅうじん》が全く娑婆《しゃば》というもの....
「法窓夜話」より 著者:穂積陳重
に夫人マリアの貞操義烈をもってしなかったならば、可惜《あたら》非凡の天才も空しく
獄裡の骨となりおわり、明教を垂れて万世を益することが出来なかったかも知れないので....
「明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
る羽目になった。それにくらべては、花井お梅は思いがけなく人を殺してしまったので、
獄裡《ごくり》に長くつながれたとはいえ、それを囚人あつかいにし、出獄してから後も....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ョンはまたそれを、サルペートリエールにいるバベの情婦に渡した。ビスケット一つは、
獄裡《ごくり》の暗黒な象徴主義では、「とうていだめ」という意味である。
それか....
「生きている空間」より 著者:中井正一
。人々はその際、自分を自分より切離し、観客として自分を観察する。而して間もなく、
獄裡の囚人が、扉に於ける覗穴から中を覗く看守の眼を見上ぐる時に感ずる様な恐ろしい....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
めに特殊の秘書を勤めていたジルベールの外には無いはずだ。しかるにジルベールは現在
獄裡に繋がれておる。万一ジルベールが彼にそむいて、警官をその隠家へ送ったと想像す....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
はや明日はパーリーという第一の関門へ着くので、事もし発覚すればおのれも捉えられて
獄裡の憂目を見なければならぬという怖れを懐いたからでしょう。彼は私に向い「この間....
「三国志」より 著者:吉川英治
みを交わしたという罪で、その晩、首を斬られてしまったと聞いて、沮授は独り哭いて、
獄裡に嘆いていた。 「もう眼にも見えてきた。味方の滅亡は刻々にある。――ああ、こ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ともおもっていない。 はや街は歳暮景色である。 「ぜひ、正月までには」 と、
獄裡のおこころも察して独りあせっていた。 思うに、後醍醐が恋いこがれていらっし....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
って「そのような、見すぼらしき乗物は、いやしくも後醍醐と仰がるる身を辱めるもの。
獄裡の辱はしのぶとするも、長途、沿道の民草のあいだを、法師輿にひとしい物などに乗....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
実、進んで主を助けんか、主君の質子を見殺しにするほかなく、質子の若殿を守らんか、
獄裡の主君の生命を断つにいたる。……この大苦境をどう打開するかが問題だった。そし....