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獰悪
「獰悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
獰悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
も、倉地と自分の妹たちとが豊かな生活を導くためにならとにもかくにも、葉子に一種の
獰悪《どうあく》な誇りをもってそれをして、男のためになら何事でもという捨てばちな....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
らに身をひそめて窺うと、一人の軍装をした男が磐石の上に坐って、そのそばには相貌|
獰悪の従卒が数人控えている。なにか言っているらしいが、遠いのでよく聴き取れない。....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
は、あのかよわい姉夫婦は一溜りもなかったのも無理はないと思いました。 が、遉に
獰悪らしいこの男も、裁判長の厳かな死刑の云い渡しを受けると、顔の色をサッと易えて....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
否認してあらゆる彼の敵に反抗せしめた原因は抑※いずこにあったか。乃至、彼は其生来
獰悪人であったが、事件の内容たりし殺人の真相はいかゞであったか。これらについて其....
「陸判」より 著者:田中貢太郎
った。それに東の廊下にある判官の木像は、青い顔に赤い鬚を生やしてあるのでもっとも
獰悪に見えた。そのうえ夜になると両方の廊下から拷問の声が聞えるというので、十王殿....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
悪魔!」 彼は思いがけない驚愕に襲われたかのように、床を蹴って立ち上った。彼は
獰悪に歪んだ顔を打ちふりながら戸外へ出た。彼は眩暈《げんうん》を覚えた。彼は跛の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の多いのを見ては驚かないわけにはゆきません。そうして彼等の面《つら》が、いずれも
獰悪《どうあく》な色を現わしていることを見て取らないわけにはゆきませんでした。 ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
美人 広寧の閭山公の廟は霊験いやちこなるをもって聞えていた。殊にその木像が甚だ
獰悪である上に、周囲には古木うっそうとして昼なお暗いほどであるので、夜は勿論、白....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、少し機嫌《きげん》の悪い時は、正面《まとも》には見ていられない険しさ、ほとんど
獰悪《どうあく》の色が現われてきます。もし誰か勇に会って、
獰悪な眼の光を浴びせら....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
。彼の叫びと呪いの声は絶えず聞こえたれど、その声は人とも獣とも分かぬ一種の兇暴|
獰悪の唸り声に圧せられんとしつつあるなり。 われは暫くなんの思案もなかりしが、....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
鮪にやや似たもので、長さは二間以上もあろう。背ひれは剣のようにとがって、見るから
獰悪の相をそなえた魚である。その著るしい特徴は、象牙のように長いくちばしをもって....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
いものがよほどまでに具備していたにしても、人の弱点を捕えて勝ち誇ったような驕慢な
獰悪な態度は醜い厭な感じしか傍観している私には与えなかった。ましてそれが万一不正....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
海面なら、綱を持って対岸まで泳ぎつくことは、至難でない、だが嵐のあとの海は、まだ
獰悪である。幾千とも知れぬ大岩小岩につきあたる波は、十|丈の高さまでおどりあがっ....
「狂女と犬」より 著者:小酒井不木
ら、その小屋の中で楽しい酒宴が開かれました。薄暗いランプの光に照し出された彼等の
獰悪な形相は、さながら地獄の鬼の酒宴を見るようであったに違いありません。 その....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
して居る人がある。その人はいわゆる強盗の本場であるカムの人です。様子を見るに実に
獰悪なまた豪壮な姿であって眼眦なども恐ろしい奴ですから、強盗本場の中でも一段|勝....