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「獰猛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

獰猛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
い。次郎は、この廃都をわが物顔に、十二十と頭をそろえて、血のにおいに飢えて歩く、獰猛《どうもう》な野犬の群れが、ここに捨ててあった疫病《えやみ》の女を、宵《よい....
」より 著者:芥川竜之介
な幕を張り渡した。幕はまるで円頂閣《ドオム》のような、ただ一つの窓を残して、この獰猛《どうもう》な灰色の蜘蛛を真昼の青空から遮断《しゃだん》してしまった。が、蜘....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
思想家 自由思想家の弱点は自由思想家であることである。彼は到底狂信者のように獰猛《どうもう》に戦うことは出来ない。 宿命 宿命は後悔の子かも知れ....
富士」より 著者:岡本かの子
であろう。 天地もまだ若く、人間もまだ稚純な時代であった。自然と人とは、時には獰猛《どうもう》に闘い、時には肉親のように睦《むつ》び合った。けれどもその闘うに....
蠅男」より 著者:海野十三
くなりそうであった。彼は随分これまで狂暴な殺人犯人にも出会ったが、いくら狂暴でも獰猛でも、この怪奇なる組立て人間「蠅男」に較べると作り物の大入道ほども恐ろしくは....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
るべき交媒の春を待った。蘭鋳は胴は稚純で可愛らしかった。が顔はブルドッグのように獰猛で、美しい縹緻の金魚を媒けてまずその獰猛を取り除くことが肝腎だった。 崖邸....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
です。火縄を振るのは路を照らす為ばかりでなく、野犬を防ぐためです。満洲の野原には獰猛な野犬の群れが出没するので困りました。殊にその野犬は戦場の血を嘗めているので....
続獄中記」より 著者:大杉栄
をぎょろぎょろと光らしていた。その光の中には、強盗殺人犯か強盗強姦犯かの眼に見る獰猛な光と、高利貸かやりて婆さんかの眼に見る意地の悪い執拗な光とを併せていた。そ....
鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
八名の委員が出席したが、その外に、前には姿を見せなかった鬼仏洞の番人隊と称する、獰猛な顔付の中国人が、太い棒をもって、あっちにもこっちにもうろうろしていた。 ....
大使館の始末機関」より 著者:海野十三
に至っては、今日のやつは、特別激しいものを選んだのだ。しかも今日のやつは、非常に獰猛で、人を見たら弾丸のように飛んでいって咬みつくという攻撃精神に燃え立っている....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
って二発を射撃したり。その弾けむりの消えやらぬうちに、われは野獣の吼ゆるがごとき獰猛なる叫び声を高く聞けり。モルガンはその銃を地上に投げ捨てて、跳り上がって現場....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
して謝罪する事。 二、趙家では道士を喚んで首|縊りの幽霊を祓う事(首縊幽霊は最も獰猛なる悪鬼で、阿Qが女を口説いたのもその祟りだと仮想する)。費用は阿Qの負担と....
北斗帖」より 著者:違星北斗
で 鏡を伏せて苦笑するなり 洋服の姿になるも悲しけれ あの世の母に見せられもせで獰猛な面魂をよそにして 弱い淋しいアイヌの心 力ある兄の言葉に励まされ 涙に脆い....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
じ水準に立っては注ぐことは出来ないので、無理に高く自分を持ち上げて、その位置から獰猛に流しかけるのである。気の毒な超人の愛。だが、そうかと思えば、老人はまた自分....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
」 二人は早速入場券を買った。 舞台では南洋踊りというのがもう始まっていた。獰猛な顔付をした逞しい男が五六人、真赤に染めた厚い唇を翻えして訳のわからない歌を....