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玉の井
「玉の井〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
玉の井の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
三《み》ツ寺《でら》筋を越え、昼夜銀行の洋館が角にある八幡《はちまん》筋を越え、
玉の井湯の赤い暖簾が左手に見える周防町筋を越えて半町行くと夜更けの清水《しみず》....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
吉蔵の供述はこうである。 「あっしは十時に店を閉めて、お由が留守だから久し振りで
玉の井へ行って見る気になりました。今戸から橋場をぬけて白鬚橋を渡ったんです。けれ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
はね、鼻瘤悪尉」 「鼻瘤悪尉? 厭な名だなあ」甚太郎は愉快そうに笑い出した。 「
玉の井や大社を舞う時にね、着けなければならない面なのよ」 「姉さん、姉さん、この....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
すよ。じっさいのところ、私だって苦労しつづけたのですよと云いたかった。
明日は
玉の井に身売りでもしようかと思う。
(五月×日)
地虫が鳴いている。
ぷち....
「蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
った男が来かかって、「ちょっと伺いますが亀井戸へはどう行ったらいいでしょう。……
玉の井という所へ行くのですが」と言う。「それなら、あしこから電車に乗って車掌によ....
「雑記帳より(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
夜、丸の内の淋しい町を歩いていたとき、子供を負ぶった見窄らしい中年の男に亀井戸|
玉の井までの道を聞かれ、それが電車でなく徒歩で行くのだと聞いて不審をいだき、同情....
「監獄部屋」より 著者:羽志主水
てやるから、何と遣繰《やりくり》したって、どう辻褄が合うものかヨ、隣の飯場に居る
玉の井の淫売殺しをやった木村ッてノッポが居るだろう、彼奴も誰が何と云おうと喋舌《....
「夏の夜の冒険」より 著者:平林初之輔
きっと。 ――芸者ならも少し気がきいてますよ、板橋あたりの女郎《じょろう》か、
玉の井ですよ。お里は。 ――旦那が意気地がないんだ。あんなまねをさせておくなん....
「寺じまの記」より 著者:永井荷風
じゅく》、金町《かなまち》などへ行く乗合自動車が駐る。 暫く立って見ていると、
玉の井へ行く車には二種あるらしい。一は市営乗合自動車、一は京成《けいせい》乗合自....
「百花園」より 著者:永井荷風
合に之を云々するのは、恰も七十の老翁を捉えて生命保険の加入契約を勧告し、或はまた
玉の井の女に向って悪疾の有無を問うにもひとしく、あまりにばかばかし過る事である。....
「裸体談義」より 著者:永井荷風
ん》として連続するものではない。例えば、日大の学生がその母と妹とに殺された事件、
玉の井の溝からばらばらに切り放された死人の腕や脚が出た事などは今だに人の記憶して....
「女強盗」より 著者:菊池寛
暮、京の町を歩いていると、ある家の半じとみ(小窓)から鼠鳴きをして(浅草の六区や
玉の井の女が鼠鳴きして客をよんだが、これは古代からのならわしである)手を指し出し....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
ひとまず》電車で雷門《かみなりもん》まで往《ゆ》くと、丁度折好く来合せたのは寺島
玉の井としてある乗合自動車である。 吾妻橋《あづまばし》をわたり、広い道を左に....
「俗臭」より 著者:織田作之助
に聞くと、昨夜三人が出掛けた後でこっそり外出されましたとのことで、てっきり吉原か
玉の井辺りへ出掛けたのだろうと推測された。果して、権右衛門は眠そうな照れ臭そうな....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
るのが、水の上の鈍く光るのと一しょに、あたりのさまを一層霜げたものにみせた。――
玉の井ゆき吾妻橋ゆきの青い乗合自動車がそういっても間断なくその道のうえを行交った....