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玉の汗
「玉の汗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
玉の汗の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
て読経の最中に、大導師の阿闍梨がなにを見たのか、急に顔の色を変えて額《ひたい》に
玉の汗をながして、数珠の緒を切って投げ出して、壇からころげ落ちたというのが事実で....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しく塗った白粉は、滲み出る汗のしずくで斑らになった。その後見を勤める師匠の額にも
玉の汗がころげていた。その混雑のうちに番数もだんだん進んで、夕の七ツ時(午後四時....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ぶ瀬のないことになる……と小刀のさきで蓋の紙をせせくる老人の額には、いつのまにか
玉の汗が――。 三 めったに緊張したことのない愚楽老人、このときだけは、小刀で....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
敵も流石《さすが》に土民ではない、柳沢隆綱等は、此処を堪《こら》えでは、と熱湯の
玉の汗になって防ぎ戦った。然し蒲生勢の恐ろしい勢は敵の胆《きも》を奪った。外郭《....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
れ果て、心は冴に冴渡る不乱不動の精進波羅密、骨をも休めず筋をも緩めず、湧くや額に
玉の汗、去りも敢ざる不退転、耳に世界の音も無、腹に饑をも補わず自然と不惜身命の大....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
ていたところに興味がある。 「いでや是より糊口的文学の道をかへてうきよを十露盤の
玉の汗に商ひといふことはじめばや。」歌の会などの折にと、とってあった一二枚の晴着....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
見はられた。そして顔が赤くなり、それからさっと青くなり息がはずんできた。額からは
玉の汗がたらたらとこぼれおちた。 見よ、大机の上に、ぼんやりしてはいるが、見な....
「怪塔王」より 著者:海野十三
さんの血がどっとふきだすこととおもわれたが、そうはならなかった。ただびっしょりと
玉の汗をかいた帆村荘六の顔が、その下から現れた。 なんだ、マスクだったのか。 ....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
る。ところが輸入鼠の話は、まだ終りまで書けていないのだ。 彼は、鼻の頭にかいた
玉の汗をハンカチで拭いながら、原稿用紙の上にまたペンをぶっつけた。 その翌朝と....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
とこぼれて玉をなしました。私は扇でパタパタあおいでやって、やっぱり脚の苦しいので
玉の汗なのよ。花嫁さんと二人でとり、それから皆でとり、それからお祝の席となりまし....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
のか悪いのかもわからなかった。赤くなったり蒼《あお》くなったりした。そして額には
玉の汗が出てきた。まわりの人たちから自分の悩みが気づかれはすまいかとびくびくして....
「S夫人への手紙」より 著者:岸田国士
宅はそれでいゝとして、事務所の窓々からあの夏の西日が直接射し込んでいる、その下で
玉の汗をかいてうだつている人々のすがたをみるたびに、小生は、われわれ同胞の我慢強....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
し、手帳に数字を書き込み、何やら計算し、忙しくささやきかわし、はなはだしきは額に
玉の汗をうかべ、髪を引きむしってしきりに焦慮苦心する様子は、さながら学年試験の試....