玉の緒[語句情報] » 玉の緒

「玉の緒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

玉の緒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
あの山を越す哀しい鳥の数も数え尽した」 「もう、いいわ、じゃ、ね」 さぬらくは玉の緒ばかり恋ふらくは不二の高嶺《たかね》の鳴沢のごと 駿河の海|磯辺《むしべ》....
みちのく」より 著者:岡本かの子
らくたん》するであろう。この心理がお蘭には自分ながらはっきり判らなかった。お蘭の玉の緒《お》を、いつあの白痴が曳《ひ》いて行ったか、白分が婿を貰い、世の常の女の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、リボンを打って激しく揺れて、 「もうその他には逢えないのよ。」 お蔦の記念の玉の緒は、右の手に燃ゆるがごとく、ひやひやと練衣の氷れるごとき、筒井筒振分けて、....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
中に、荒れても晴れても毎日毎日、一命を投げてかかって、緊張し切った終日の労働に、玉の緒で炊き上げたような飯を食って一生を過ごして行かねばならぬ漁夫の生活、それに....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
どろにおとよは声を呑むのである。省作はとうとう一語も言い得ない。 悲しくつらく玉の緒も断えんばかりに危かりし悲惨を免れて僅かに安全の地に、なつかしい人に出逢う....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
そどんなによかったろうか! 18 来ては行くだけでなんの甲斐があろう? この玉の緒の切れ目はいったいどこであろう? 罪もなく輪廻の環の中につながれ、 身を燃....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
て、令室を一目見ると、唄の女神と思い祟めて、跪き、伏拝む。 長く冷たき黒髪は、玉の緒を揺る琴の糸の肩に懸って響くよう、互の口へ出ぬ声は、膚に波立つ血汐となって....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
。 中にも慎ましげに、可憐に、床しく、最惜らしく見えたのは、汽車の動くままに、玉の緒の揺るるよ、と思う、微な元結のゆらめきである。 耳許も清らかに、玉を伸べ....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
互に顔をも見ざりしに、意中の人は捕縛されつ。 その時既に精神的絶え果つべかりし玉の緒を、医療の手にて取留められ、活くるともなく、死すにもあらで、やや二ヶ月を過....
星女郎」より 著者:泉鏡花
抱いた、胸に夕顔の花がまたほのめく。……ああ、魂というものは、あんな色か、と婦に玉の緒を取って扱かれたように、私がふらふらとした時、 (貴下、) と顔を上げて....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
界生活に突入するほど危険なことはない。天寿を全うすることは、大自然の原則である。玉の緒は、決して人力を以て断ち切ってはならないのである。故に死刑ほど愚なる、そし....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
、夢てふものを頼み切りにしたのかな。」 と考えが道草の蝶に誘われて、ふわふわと玉の緒が菜の花ぞいに伸びた処を、風もないのに、颯とばかり、横合から雪の腕、緋の襟....
式部小路」より 著者:泉鏡花
りに白やかなるも、剃刀の刃の蒼ずんで冴えたのも、何となく、その黒髪の齢を縮めて、玉の緒を断たんとする恐ろしき夜叉の斧の許に、覚悟を極めて首垂れた、寂しき俤に肖て....
活人形」より 著者:泉鏡花
して、腸絞る苦しさにさては毒をば飲まされたり。かの探偵に逢うまでは、束の間欲しき玉の緒を、繋ぎ止めたや繋ぎ止めたやと絶入る心を激まして、幸いここが病院なれば、一....
古事記」より 著者:太安万侶
いに三人の貴い御子《みこ》を得た」と仰せられて、頸《くび》に掛けておいでになつた玉の緒《お》をゆらゆらと搖《ゆら》がして天照《あまて》らす大神にお授けになつて、....