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「玉章〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

玉章の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
っち向いて、こっち向いて、ひょいひょいと見せびらかすと、籠の中のは、恋人から来た玉章ほどに欲しがって駈上り飛上って取ろうとすると、ひょいと面を横にして、また、ち....
婦系図」より 著者:泉鏡花
になって、くつろいだ衣紋の、胸から、柔かにふっくりと高い、真白な線を、読みかけた玉章で斜めに仕切って、衽下りにその繰伸した手紙の片端を、北斎が描いた蹴出のごとく....
俊寛」より 著者:菊池寛
親しい者からの消息を読んでいるのを見た。が、重科を赦免せられない俊寛には、一通の玉章をさえ受くることが許されていなかった。俊寛は、砂を噛み、土を掻きむしりながら....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
しょうがないのね。(子供らしい声で歌う) 浅香三味線をひく。 萩、桔梗、なかに玉章しのばせて、 月は野末に、草のつゆ。 君を松虫夜ごとにすだく。 ふけゆく空や....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
丈に余る。銀の靴をはき、帯腰に玉のごとく光輝く鉄杖をはさみ持てり。両手にひろげし玉章を颯と繰落して、地摺に取る。 右に、湯尾峠の万年姥。針のごとき白髪、朽葉色の....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
頭が幽に燃えている。その陽だまりは、山霊に心あって、一封のもみじの音信を投げた、玉章のように見えた。 里はもみじにまだ早い。 露地が、遠目鏡を覗く状に扇形に....
南地心中」より 著者:泉鏡花
満の橋を渡る時、ふとどこともなく立顕れた、世にも凄いまで美しい婦の手から、一通|玉章を秘めた文箱を託って来て、ここなる池で、かつて暗示された、別な美人が受取りに....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
らない。が、対手が牛乳屋の小僧だけに、天使と牧童のお伽話を聞く気がする。ただその玉章は、お誓の内証の針箱にいまも秘めてあるらしい。…… 「……一生の願に、見たい....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
るわ。勘当ではない自分で追出て、やがて、おかち町辺に、もぐって、かつて女たちの、玉章を、きみは今……などと認めた覚えから、一時、代書人をしていた。が、くらしに足....
露肆」より 著者:泉鏡花
リといわせる。……同じ事を、絶えず休まずに繰返して、この玩弄物を売るのであるが、玉章もなし口上もなしで、ツンとしたように黙っているので。 霧の中に笑の虹が、溌....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
早かれとまちぬ、いずれにもせよ余がこの手紙|認むべき時はついに来たれり。 夏の玉章一通、年の暮れの玉章一通、確かに届きぬ。われこれに答えざりしは今の時のついに....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
。 思い出して三味線を取り上げると、さっきの続きを弾き出した。 ※雁がとどけし玉章は、小萩のたもとかるやかに、へんじ紫苑も朝顔の、おくれさきなるうらみわび……....
花筐と岩倉村」より 著者:上村松園
せ給うて継体天皇となり給うについて、俄かに御上洛を遊ばされる時、御寵愛の照日前に玉章と形見の花籠を賜わったが――照日前に、花筐を持って君の御跡を追うて玉穂の都に....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
」で雪岡冬次郎、中幕の「絵本太功記」杉の森の場で慶覚上人、二番目「熱海会津※雁皮玉章」で伊勢屋晋三郎の役々をうけ取り、番附にもその通りに記載されていたが、かれは....
贋物」より 著者:葛西善蔵
を見せるため二階へ案内した。 周文、崋山、蕭伯、直入、木庵、蹄斎、雅邦、寛畝、玉章、熊沢蕃山の手紙を仕立てたもの、団十郎の書といったものまであった。都合十七点....