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珍
「珍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
珍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
一
………それは小ぢんまりと出来上った、奥床しい門構えの家だった。尤《もっと》もこの界隈《かいわい》にはこう云う家も
珍しくはなかった。が、「玄鶴山房《げんかくさんぼう》」の額や塀越しに見える庭木な....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
先生といっている。埋《う》まらない役まわりは僕一人さ。――」
「なるほど、これは
珍談だな。――おい、君、こうなればもう今夜の会費は、そっくり君に持って貰《もら》....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
に、漂《ただよ》っている種類の人であった。が、同時にまたその顔には、貴族階級には
珍らしい、心の底にある苦労の反映が、もの思わしげな陰影を落していた。私は先達《せ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
知れません。しかし我々はこの通り、未だに生きているのです。」
オルガンティノは
珍しそうに、老人の顔へ横眼を使った。
「お前さんはパンを知っているのですか?」
....
「河童」より 著者:芥川竜之介
童が一匹、片手は白樺《しらかば》の幹を抱《かか》え、片手は目の上にかざしたなり、
珍しそうに僕を見おろしていました。
僕は呆《あ》っ気《け》にとられたまま、しば....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
時、あたりの客は云い合わせたように、丸髷《まるまげ》に結《ゆ》ったお蓮の姿へ、物
珍しそうな視線を送った。彼女にはそれが晴がましくもあれば、同時にまた何故《なぜ》....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
の頃は、極《ごく》正直な、人の好《い》い人間で、捕虜の中にも、あんな柔順なやつは
珍らしいくらいだったのだ。だから軍医官でも何でも、妙にあいつが可愛いかったと見え....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
は………
保吉は下宿へ帰らずに、人影の見えない砂浜《すなはま》へ行った。これは
珍らしいことではない。彼は一月五円の貸間と一食五十銭の弁当とにしみじみ世の中が厭....
「女」より 著者:芥川竜之介
彼等のある一団は炎暑を重く支えている薔薇の葉の上にひしめき合った。またその一団は
珍しそうに、幾重《いくえ》にも蜜の※《におい》を抱《いだ》いた薔薇の花の中へまぐ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
山さん、この太極堂《たいきょくどう》と云うのは。」
洋一《よういち》はそれでも
珍しそうに、叔母の読んでいる手紙を覗きこんだ。
「二町目の角に洋食屋がありましょ....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
えない。いや、端正に過ぎる結果、むしろ険《けん》のあるくらいである。
女はさも
珍らしそうに聖水盤《せいすいばん》や祈祷机を見ながら、怯《お》ず怯《お》ず堂の奥....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
こう云う場所だけに難有《ありがた》かった。露柴も、――露柴は土地っ子だから、何も
珍らしくはないらしかった。が、鳥打帽《とりうちぼう》を阿弥陀《あみだ》にしたまま....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
家の苗字を世に知らせ、またその生国としてこの地の名をも挙るものなれとて、いよいよ
珍重して教えられ、人に逢えばその事を吹聴さるるに予も嬉しき事に思い、ますます学問....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
に使うことや、セイヌ河岸にいる洗濯女から、室内の飾りつけ、書物の印刷と種々の事が
珍らしかった。 学問の方面の事を書いて見ると、デビーの所へアンペアやクレメント....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
な刺戟を求めている人にあっては、どんなにかふさわしい、どんなにか好い、どんなにか
珍らしいものに相違なかろう。 八月二十二日―― 私はもう辛抱が出来ない。ため....