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珍書
「珍書〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
珍書の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一円本流行の害毒と其裏面談」より 著者:宮武外骨
を背信、偽作、剽窃の常習犯者と見れば大差なしである 図書尊重の念を薄からしむ 古
珍書を骨董品視する玩物喪志の輩は例外とし、総て所蔵の図書に対しては尊重の念がなく....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
の持っているターヘルアナトミアのことを考えると、また別な心持が動いた。彼は、その
珍書を皆の前で披露するときの、得意な心持を考えた。ことに良沢の前で――いつもそれ....
「階段」より 著者:海野十三
幾度となくよみかえしたり、その書棚の或る一つに雑然と積みかさねられてある雑部門の
珍書などを手にとってみていた。最初の考えでは、何時かも見たように、此の三階へまた....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
るまい。しかし二家書庫の蔵する所は、互に出だし借すことを吝まなかったらしい。頃日
珍書刊行会が『後昔物語』を刊したのを見るに、抽斎の奥書がある。「右|喜三二随筆後....
「小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」より 著者:寺田寅彦
なみなみならぬ熱心な努力が、これらの装幀にも現われているようである。この異彩ある
珍書は著者、解説者、装幀意匠者、製紙工、染織工、印刷工、製本工の共同制作によって....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
たが売れてしまっていた、新版のいいものが沢山出ている時代にあれを買った人は果して
珍書であることが分って買ったのかどうか、この和製日本紙刷の玉流堂本にもあとで自由....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
かくし持っているものである。吝嗇の人間は金をかくしている。骨董家は指環を、学生は
珍書を、詩人は気に入った住居を、恋びとは秘密のひきだしを、みなそれぞれに持ってい....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
した巨盗大賊の伝記であって、行文の妙、考証の厳、新説百出、規模雄大、奇々怪々たる
珍書であったが、惜しい事には維新の際、殆ど失われたということである。つまり兵燹に....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
には本が積んである。巻軸もあれば帙入もある。西班牙文字の本もある。いずれも貴重な
珍書らしい。扉を背にして左の壁に、穿いているのが窓である。扉を背にして右の壁に、....
「けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
っていた。 南堂伯爵未亡人は、その尤なる者であった。 巨万の財産を死蔵して、
珍書画の蒐集に没頭していた故伯爵が四五年前に肺病で死ぬと間もなく未亡人は、旧邸宅....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
至りしは元禄年代|鳥居清信《とりいきよのぶ》出でてより後《のち》なりき。本年演劇
珍書刊行会において翻刻せし鳥居清信が『四場居百人一首《しばいひゃくにんいっしゅ》....
「梅雨晴」より 著者:永井荷風
持出した『群書類従』、『史記評林』、山陽の『外史』『政記』のたぐいとは異って、皆
珍書であったそうである。先哲諸家の手写した抄本の中には容易に得がたいものもあった....