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珍本
「珍本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
珍本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
のであった。しかし彼のいちばんの喜びは、四折判《クオートー》ゴシック字体の非常な
珍本――ある忘れられた教会の祈祷書《きとうしょ》――“Vigilioe Mort....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
などにも造詣のふかい易者に見てもらうのが長い習慣になっていた。支那出来の三世相の
珍本も支那の古典なぞと一緒に、その座右にあった。 「梢を叩き出してもかまわない。....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
を外国から仰いで積んで置く事は出来無いが、猶且容易に手に入れる事の出来ない此種の
珍本も数十点あった。之が皆灰となって了った。 稀覯書というでは無いが、ベンガル....
「東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
|戊戌《つちのえいぬ》の年の述作にかかる『和唐詩』四冊、功徳院所蔵の『日本紀』の
珍本および『園太暦』等がある。中にも『園太暦』のごときは、中院入道内府がかつて百....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
った。そして貧しくはあったが、忍耐と倹約と長い間のおかげで、あらゆる種類の高価な
珍本を集めることができた。外出する時はいつも書物を一冊小わきに抱えていたが、帰っ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ほら》を吹き立て広告を出して特産植物誌をもはやらせよう。また一五五九年の木版刷の
珍本でピエール・ド・メディヌの航行術が一部ある所も知ってるから、それを買ってこよ....
「三十歳」より 著者:坂口安吾
にも、懐から放したことのない二冊の本があった。N・R・F発行の「危険な関係」の袖
珍本で、昭和十六年、小田原で、私の留守中に洪水に見舞われて太平洋へ押し流されてし....
「空家の冒険」より 著者:ドイルアーサー・コナン
たぶんこの老人は、あるいは商売にしろ物好きにしろ、とにかく貧しい愛書家で、しかも
珍本の蒐集家に相違ないと思った。 私はこの粗忽を、大に陳謝したが、しかしこの珍....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
出版となっている。この書は岩野泡鳴から譲り受けたもので、その当時鶴見が手にした袖
珍本と版式に変りはない。そうしてみれば、彼がその本を読んで感動した年代もほぼ明ら....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
なく恭一の本立を見ているうちに、次郎の眼はその中の一冊にひきつけられた。仮綴の袖
珍本で、背文字に「葉隠抄」とあった。次郎はいきなりその本を引き出して、頁をめくっ....
「田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
に書いて来て、嬉しそうにニタニタしながら、不出来ですがといったのは好いが、こんな
珍本を見つけましたからって、おいていった和本のなかへ、艶書《えんしょ》を入れて来....
「好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
ぬと思った。いわば自分の初恋の女を恐ろしい殺人事件の渦中に引き入れたくなかった。
珍本の出現によって得られた安心は、恋人にふりかかって居る運命を危惧するの念に置き....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
偶っと或る会で落合った時、あたかも私が手に入れた貞享の江戸図の咄をすると、そんな
珍本は集めないよ、僕のは安い本ばかりだと、暗に
珍本無用論を臭わした。が、その口の....
「学究生活五十年」より 著者:津田左右吉
るものが多かったので、読みたいものを手がるに手に入れることができなかった。勿論、
珍本とか人の知らないようなものとかも読もうとしたのではなく、だれでも一応は読むべ....
「アイヌ語学」より 著者:知里真志保
ります。アイヌが読んでも分らないアイヌ語で書いてあるという点で、これは誠に天下の
珍本たるを失わないものなのであります。このアイヌ語の聖書など、今は古本屋の相場で....