珍無類[語句情報] » 珍無類

「珍無類〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

珍無類の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
だ」波田は、そのつもりで航路をそっちへとっていた。 東洋軒は、また、その日も、珍無類なお客を迎えた。 ボーイ長は、足がきかないので、日本間の方に三人は通され....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
わしか、綾子嬢は兄の腕にしっかり抱かれてしまいました。失恋した笛吹川画伯の様子は珍無類でした。彼は泪を滾したり、無口の人となる代りに、大層快活になり、能弁家にな....
蠅男」より 著者:海野十三
「二里半。よオし、なんとしても追いついてやるんだ」 帆村の姿と来たら、実にもう珍無類だった。これはあまりにも勇ましすぎた。若い婦人に見せると、気絶をしてしまう....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
てうなずいた。正木博士はいよいよ腹を抱えた。 「ワッハッハッハッ。トテモ素敵だ。珍無類だ。……それじゃ君は、その二人のお父さんの名前を記憶えているかね」 正木....
黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
と言ってもいいね。――そして君の甲虫というのが、もしこれに似てるのなら、それこそ珍無類の甲虫にちがいない。そうだな、この暗示《ヒント》でぞっとするような迷信が一....
ビジテリアン大祭」より 著者:宮沢賢治
類も又動物ではないか。」 「こいつは面白《おもしろ》い。実に名論だ。文章も実に珍無類《ちんむるい》だ。実に面白い。」トルコの地学博士はその肥《ふと》った顔を、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
込み、息と水を切り、後生大事に浮袋にしがみついている。 その有様が、おのずから珍無類の滑稽になっているのであります。 いったい、滑稽というものは、企《たくら....
十二支考」より 著者:南方熊楠
黄道《こうどう》を十二分し、十二禽の名を付け、順次日の進行に逆ろうて行くとしたは珍無類のやり方で支那に起りしや疑いなし」といったごとく(『大英百科全書』十一板、....
初孫」より 著者:国木田独歩
任じおられ候、天保できの女ワッペウと明治生まれの旧弊人との育児的衝突と来ては実に珍無類の滑稽にて、一家常に笑声多く、笑う門には福来たるの諺で行けば、おいおいと百....
時 処 人」より 著者:岸田国士
れわれ一流のやり方で、関東、関西をチャンポンにし、時には中国式や欧米風を交えた、珍無類の料理を正月の膳にのせた。 十年前に母親を失つた娘たち二人は、毎年感心に....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
なはだしく退屈きわまるものではあるが、これくらい独得なものは二つとない。なんとも珍無類なものであった。マライ映画は普通二十五、六巻から三十巻ぐらいの長さで物語の....
遠藤(岩野)清子」より 著者:長谷川時雨
も、以前の関係のままで押通した。 熱海の間歇《かんけつ》温泉ではないが、この、珍無類夫妻の間には、間歇的に例の無言の闘争が始まるのだった。そして、彼女は終日|....
恐怖の季節」より 著者:三好十郎
6 第三に、新劇人たちの「ハクライ趣味」のこと。これがまた珍無類である。なにしろ、終戦直後、新劇公演がやれるようになったら、トタンにチェホ....
食道楽」より 著者:村井弦斎
は近い内に日を期して君と小山君御夫婦とを招待して上等の御馳走を差上げたいと思う。珍無類の御馳走だ。如何なる贅沢家《ぜいたくか》も金満家も容易に口にする事が出来ん....