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現前
「現前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
現前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
うに。どうしてあと何年経てば死ぬとは言わないのだろう。 堯の頭には彼にしばしば
現前する意志を喪った風景が浮かびあがる。 暗い冷たい石造の官衙《かんが》の立ち....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
、葉子にはただ崇拝する文学者麻川荘之介氏と同宿するという突然な事実ばかりが歴然と
現前して来るのであった。その後の事を語る順序として葉子の鎌倉日記のうち多く麻川氏....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
この間に日影の移る一寸一寸、一分一分、一厘一厘が、政元に取っては皆好ましい魔境の
現前であったろう歟、業通自在の世界であったろうか、それは傍からは解らぬが、何にせ....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
や宿題なんかしていたんだけれど。 ここに至って合点が出来た。油然として同情心が
現前の川の潮のように突掛けて来た。 ムムウ。ほんとのお母さんじゃないネ。 少....
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
る絶対精神の発展段階の一つと見た。だが之は決して道徳についての説明ではない。単に
現前の道徳という諸事象の持つ形態を明らかにし、それが有つ一種の意義・意味を解釈し....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
た刹那じゃないか。その意識こそ尊い意識だ」 「森鬱として、巨人のごとき大きな山が
現前したとき、吾人は慄然として恐愕の念に打たれ、その底にはああ大なる力あるものよ....
「省察」より 著者:デカルトルネ
とはいったい何であるかをいっそう注意深く考察するとき、それは認識能力にまざまざと
現前するところの、従って存在するところの物体に対する認識能力の或る適用以外のなに....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
体なことではあるが、かれはこの若者を傭って、仮托してまでも、バイロン卿のえらさを
現前したかった。要するにこの若者を憑座に据えてこの大詩人の乗り移る魂の声を聞こう....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
も見当が付かなかった。 「そうすると、透君がたびたび脅迫状をよこして、妹を根津権
現前へよび出して、一体どうするつもりなんでしょう。」 「さあ。」と、奥さんも考え....
「物を大切にする心」より 著者:種田山頭火
れを味うことが生きることである。物そのものがその徳性を発揮するところ、そこが仏性
現前の境地である。物の徳性を高揚せしめること、そのことが人間のつとめである。 ....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
り、一本脚傘の化物ともなる。世にいわゆる妖怪変化の類は、すべてこれ鬼神力の具体的
現前に外ならぬ。 鬼神力が三つ目小僧となり、大入道となるように、また観音力の微....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
育をはじめた頃である。 彼がふと寺の縁に立つと、あの富士と自分と融け合う三昧が
現前したのである。もう、そのときは彼には、こんなことは珍らしくもうれしくもなかっ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
を覚ゆ。
今我が持たる物遠き処にあるかと見えて、
消え失せつる物、我がためには、
現前せる姿になれり。
座長。座附詩人。道化方。
座長
これま....
「認識論としての文芸学」より 著者:戸坂潤
るが、もしその手段が独立して支配的な認識方法となるなら、途方もない思想文化の姿が
現前することになる。文献学はそういう制限を持った一つの手段科学だ。吾々は支那仏教....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
込の盛り場としてにぎやかなので、だから人が出る。人が出るからにぎやかなんだという
現前の事実を認めさえすればいいんだ。併し単ににぎやかだとか人出が多いとかいうだけ....