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現況
「現況〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
現況の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
くなった。彼女は再び筆を動かした。なるべく父母《ふぼ》の喜こびそうな津田と自分の
現況を憚《はばか》りなく書き連ねた。幸福そうに暮している二人の趣《おもむき》が、....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
いであろう。 東京市中の第三階級の生活はこれ位にして、浅草と活動写真、醜業婦の
現況、不良少年少女の研究に移り、この稿を終る事にしたい。....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
は忍びやかに書斎に音ずれ、薄紫の影は窓の閾より主人が左手に持てる「西比利亜鉄道の
現況」のページの上にちらちらおどりぬ。 主人はしばしその細き目を閉じて、太息つ....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
当の夫人の身柄は、既に某所に移されて居り、そこにおいて安全静穏な生活を営んでいる
現況だった。 夫人代役が苅谷邸を去ってから数分後、苅谷氏は探偵猫々とのかねての....
「米国巡回文庫起源及び発達」より 著者:佐野友三郎
達せること疑うべからず。 四、以上は、ニューヨーク州における巡回文庫の成績及び
現況の一班なり。その他の各州は、いづれも、同州を模範としたるものなれば、概して大....
「藪の鶯」より 著者:三宅花圃
。例の筆無性《ふでぶしょう》で三度に一度の御返事もあげませんでしたが。僕が東京の
現況を新聞体にて御報道致した御返事に。日本人はメスメリズムにばかされた人のように....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
誠にやすらかにして美味、有難存候。彼の争議一件御筆にのせられ候由、以て当今社会の
現況を知る事を得べく、楽しみ罷在候。何卒御示下され度希上候。土山の下の終に、深山....
「教育家の教育」より 著者:新渡戸稲造
商業学も同じことである。全体技術の学問は言うまでもなく現金的であるが、今日我邦の
現況を見ますると現金主義が独り技術的学問ばかりに限らぬ、法学も文学も皆現金的では....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:鈴木行三
亭圓朝子の人情話は頗る世態を穿ち、喜怒哀楽能く人をして感動せしむること、恰も其の
現況に接する如く非常の快楽を覚ゆるものなれば、予が速記法を以て其の説話を直写し、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
正成以外にないとは、彼の固い信条でもあった。――しかもその正成は微力だし、また、
現況の家庭以上に、正直、何をと欲する欲望もない凡人だった。 しかし周囲は違う。....