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「球根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

球根の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
ういしい処はなかった。僕は彼女の横顔を見ながら、いつか日かげの土に育った、小さい球根を考えたりしていた。 「おい、君の隣に坐っているのはね、――」 譚は老酒《....
百合」より 著者:芥川竜之介
くの後《のち》、突然またこんな事を云い始めた。 「こんなに好《い》いちんぼ芽じゃ球根《たま》はうんと大きかろうねえ。――え、良ちゃん掘って見ようか?」 彼はも....
めくら草紙」より 著者:太宰治
か私が一言、家人のいるまえで呟いたことのあるのを思い出した。二十種にちかき草花の球根が、けさ、私の寝ている間に植えられ、しかも、その扇型の花壇には、草花の名まえ....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
二年三月、渋柿) * 数年前の早春に、神田の花屋で、ヒアシンスの球根を一つと、チューリップのを五つ六つと買って来て、中庭の小さな花壇に植え付けた....
球根」より 著者:寺田寅彦
るような触感があった。袋の口をあけてのぞいて見ると実際それくらいの大きさの何かの球根らしいものがいっぱいはいっている。一握り取り出して包み紙の上に並べて点検しな....
路傍の草」より 著者:寺田寅彦
い屋敷内へ自由にやって来て、一つ残らずむしり取り、引っこ抜いてしまう。いろいろの球根などは取るのにも取りやすいわけだが、小さな芽ばえでもたんねんに抜いてそこらに....
野道」より 著者:幸田露伴
しうろついていたが、何か掘っていると思うと、たちまちにして春の日に光る白い小さい球根を五つ六つ懐から出した半紙の上に載せて戻って来た。ヤア、と云って皆は挨拶した....
箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
駅の西の線路脇にチューリップばかり咲揃った畑が見えた。つい先日バラの苗やカンナの球根を注文するために目録を調べたときに所在をたしかめておいた某農園がここだと分か....
市井喧争」より 著者:太宰治
ひょっこり庭へ、ごめん下さいまし、私は、このさきの温室から来ましたが、何か草花の球根でも、と言い、四十くらいの男が、おどおど縁先で笑っている。こないだの贋百姓と....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
と思って、会堂理事の職を選んだのだった。その上、女のことといったらチューリップの球根ほどにも思っていず、男のことといったらオランダのエルゼヴィール版の書物ほどに....
花ふぶき」より 著者:豊島与志雄
する者まで出て来た。空腹どころではなく、全く飢餓だった。どうやら食用になる野草の球根や蔓茎を植えるのに、足だけで体を支えることができず、四つん這いにならねばなら....
話の種」より 著者:寺田寅彦
二 護謨の新原料 近頃|葡国領西部アフリカで発見された一種の植物の球根は丁度|蕪菁のような格好をしているが、その液汁中には護謨を含み、これを圧搾し....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
等の称あり。石見国の方言にはえんこうばなともいうとある。 さて石蒜即ち彼岸花の球根が英国に伝播し栽培されて頗る珍重がられた事については、別にあの博聞強記を以て....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
の畑を与えた。それへ数種の果樹を植えてやった。苺の苗を買ってやった。草花の種子や球根やをいろいろ遠い所からわざわざ取り寄せてやった。鍬や、鎌や、バケツや、水桶や....
三月の空の下」より 著者:小川未明
た荷物を開けてみました。紙箱の中には、すでに芽を出しかけた、いくつかのすいせんの球根がはいっていました。また、古びた貯金帳といっしょに、なにか書いたものがほかか....