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琴線
「琴線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
琴線の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
秋の灯《ひ》を反射して、くり込んだ胴の丸みに冷たい光を帯びています。つよく張った
琴線《きんせん》の一部だけがきらきらと白く眼に映《うつ》ります。……」
「なかな....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ているという旨を告げた。
しかし、その間に法水の推考が成長していって、ついに洋
琴線のように張りきってしまった。そして、目前の惨事に、最初から現われてきた事象を....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
より甦《よみが》えらせ給いし父なる神に由りて使徒となれるパウロ。小説を書く筆者の
琴線がたかなることなくしては、神は人のうわべをとり給わずである。自分にそのような....
「絵姿」より 著者:渡辺温
教えた。それは計らずも、ドリアンの心の奥なる、曾て触れられたこともなかった秘密の
琴線に鳴りひびいたのである。 『――誘惑に打ち勝つ唯一の方法は、それに従うことだ....
「ヒューマニズムへの道」より 著者:宮本百合子
元性に陥っている傾向が見られる。かつて他の面で活動をしていた人々が、人間の「胸の
琴線にふれる」文学の仕事に転じて来た時、センチメンタルになり、人間の観方、文学的....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
しい巨大な富を握ろうと……。また、オフシェンコはと……。いうなかにも折竹の、心の
琴線に触れるのはザチのこと。彼はいかにしても地底の女王に遇いたかったのである。 ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ている男の人たちの作も、平生よりできの悪いのが普通で、松の千歳から解放されて心の
琴線に触れるようなものはないからである。 朝の光がさし上るころにいよいよ霜は深....
「アインシュタインの教育観」より 著者:寺田寅彦
える能力というのは面白く教える事である。どんな抽象的な教材でも、それが生徒の心の
琴線に共鳴を起させるようにし、好奇心をいつも活かしておかねばならない。」 これ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
。 その故人を慕って、いまなお尽きぬ苦恋の炎が、この一篇を流れつらぬく大伝奇の
琴線なのである。 十八年の昔、トリエステにおこった出来事と、ジーグフリードの死....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
《ぶんきてん》となったり、片言《かたこと》でいう小児《しょうに》の言葉が、胸中の
琴線《きんせん》に触れて、涙《なみだ》の源泉を突くことがある。老嫗《ろうおう》の....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
芸術だけでは決して与えられるものでないから、作者の包蔵する信念が直ちに私の肺腑の
琴線を衝いたのであると信じて作者の偉大なる力を深く感得した。その時の私の心持は『....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
………」 顕家は感泣していた。かぞえ年の十八はまだ年少な香をもっている。感情の
琴線は純で一途だった。情に極まると子供みたいな咽びを洩らす。 父親房は、やがて....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
る姿のようで「――麗子」と義貞に朝夕よばれるさりげないことまでが、いちいち彼女の
琴線には、こころよい語感になって、雌蕊の命をふるわすのだった。 「…………」 ....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
まれてさえ、そのままが美しい詩であるばかりでなく、ぼくら日本に生きる者の肉親感の
琴線をかなでるものらしい。そして、「この兄弟が後には骨肉の争いに血をみる」ことを....