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瑣末
「瑣末〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瑣末の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
へえ、朝湯に。なるほど。」
市兵衛は、大いに感服したような声を出した。いかなる
瑣末《さまつ》な事件にも、この男のごとく容易に感服する人間は、滅多にない。いや、....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
った一度だけで懲《こ》り懲《ご》りしてしまった。
或自殺者
彼は或|
瑣末《さまつ》なことの為に自殺しようと決心した。が、その位のことの為に自殺するの....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
母と二人で箪笥《たんす》を買いに出かけたとか、鮨《すし》をとって食ったとか云う、
瑣末《さまつ》な話に過ぎなかった。しかし僕はその話のうちにいつか※《まぶた》が熱....
「思い出草」より 著者:寺田寅彦
る。こんなことは右の句の鑑賞にはたいした関係はないことであろうが、自分はこういう
瑣末な物理学的の考察をすることによってこの句の表現する自然現象の現実性が強められ....
「三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
にはあるとしてもそれは第二次的以下のものであるという結論になるのである。 この
瑣末な経験はいろいろなことを自分に教えてくれた。 最初気づいた時にはおそらく、....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
この集の内容は例によって主として身辺|瑣事《さじ》の記録や追憶やそれに関する
瑣末《さまつ》の感想である。こういうものを書く場合に何かひと言ぐらい言い訳のよう....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
って、求めずとも諸君に押し寄せるであろうからである。 「常に大思想をもって生き、
瑣末の事柄を軽視する慣わしを持て」とカルル・ヒルティはいった。今の知識青年の社会....
「箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
とうとう四月二十日の今日の日曜までこのささやかな欲望を果たす機会がなかった。実に
瑣末な事柄ではあるが、これだけでもままにならぬ人世という古い標語の真実性を証する....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
の生活といったようなものが窺われ、美食家や異食家がどんなものを嗜んだかが分かり、
瑣末なようなことでは、例えば、万年暦、石筆(鉛筆か)などの存在が知られ、江戸で蝿....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
責任は自分でもつが、身体の方は信頼できる先生に委せきった方がよい。その安心感で、
瑣末な心配は忘れられるし、これ以上はどうなっても仕方がないのさと覚悟もつく。 ....
「徒然草の鑑賞」より 著者:寺田寅彦
からと思っているうちに肝心な職務上の仕事が忙しくて思うように復習も出来ず、結局|
瑣末な空談をもって余白を汚すことになったのは申訳のない次第である。読者の寛容を祈....
「競漕」より 著者:久米正雄
の艇は水雷艇だな。ひょろひょろしてるくせに速い」と法科の艇舳を漕いでいる、何でも
瑣末なことを心得ているので巡査と渾名のある茨木が言った。 皆はかなり好い気持で....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
本の国体に関する根本思想については、全然同一意見であったが、その他の、学問上の、
瑣末の解釈については、意見を異にし、互いに詈言い、不和となったのであった。もちろ....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
創り出した事は奇観である。芸術美が自然を離れれば必ず枯渇して、足利期仏像のような
瑣末形式のくり返しに陥り、一度び自然に眼が開けば必ず新鮮の美が油然と起って、室町....
「音楽界の迷信」より 著者:兼常清佐
る事は出来ない。 しかし、この時間の遅れは、決して平気で聞き落してもいいような
瑣末なものでない。そしてその時間は鍵盤の沈む角速度に関係するから、音楽としては誠....