瓶子[語句情報] » 瓶子

「瓶子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瓶子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
いのように、悲鳴を上げる――と、老人は、左手に女の髪をつかんで、右手に口の欠けた瓶子《へいし》を、空ざまにさし上げながら、その中にすすけた液体を、しいて相手の口....
忠義」より 著者:芥川竜之介
例になっている。ところが、その日は、小姓《こしょう》の手から神酒《みき》を入れた瓶子《へいし》を二つ、三宝《さんぼう》へのせたまま受取って、それを神前へ備えよう....
」より 著者:芥川竜之介
狭い。が、簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、甕《かめ》でも瓶子《へいし》でも、皆|赭《あか》ちゃけた土器《かわらけ》の肌《はだ》をのどかな....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ので、いい加減に座をはずして立とうとすると、あいにくにその鼻のさきへ一人の大男が瓶子《へいし》と土器《かわらけ》とを両手に持って来た。 「左少弁、どこへゆく。実....
山椒大夫」より 著者:森鴎外
》の下で山岡大夫に出逢った母親と子供二人とは、女中|姥竹《うばたけ》が欠け損じた瓶子《へいし》に湯をもらって帰るのを待ち受けて、大夫に連れられて宿を借りに往った....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
、挨拶かたがたはいって来る髪の白いおばあさんの後ろからは、十六、七ばかりの孫娘が瓶子を運んで来た。 「おゝ、おゝ、よい子息さんがただ。」 とおばあさんは半蔵の....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ろこぶであろうともつけたした。彼女は家にある土器なぞを三宝に載せ、孫娘のお粂には瓶子を運ばせて、挨拶かたがた奥座敷の方へ行った。 「皆さんがお骨折りで、御苦労さ....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
男*の道がよい。 酒と楽の音と恋人と、そのほかには何もない! 手には酒盃、肩には瓶子ひとすじに 酒をのめ、君、つまらぬことを言わぬがよい。 (97) 酒姫よ....
石狩川」より 著者:本庄陸男
「それでは――」 「これでお揃《そろ》いか」 邦夷はそう云って盃を取りあげた。瓶子《へいし》をささげた女が辷《すべ》るように前に出た。 燭台の焔《ほのお》が....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
足音を聞きましたから、老人は坐ったまま居間の扉を押開いて、傍《かたわ》らにあった瓶子《へいし》を取って逆《さか》しまにし、その水を外へこぼすと、その傍らを風のよ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
の時、嘗て采女をつとめたことのある女が侍していて、左手に杯を捧げ右手に水を盛った瓶子を持ち、王の膝をたたいて此歌を吟誦したので、王の怒が解けて、楽飲すること終日....
俊寛」より 著者:倉田百三
みちた、天来の猿楽を! 康頼 成経殿がふと狩衣の袖に引っかけて、法皇の前にあった瓶子を倒したのが初めだった。 成経 平氏が倒れた! とあなたが叫んだ時には、私は....
弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
蒔絵の燭台に燈火がともり、食机の上に盆鉢が並び、そこに馳走の数々が盛られ、首長の瓶子には酒が充たされ、大|盞が添えられてあり、それらの前に刺繍を施した茵が、重々....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
き、お琴さんも見えましょうから、そうしたら、みんなで一杯のみましょう」 雛壇の瓶子《へいし》を指さし、 「あッちのほうには、そのつもりで、そっと辛いのを仕込ん....
春心」より 著者:田中貢太郎
いい、早く持って来い」 「そうですか」 年老った婢は流槽と喰ついた棚の下にある瓶子の傍へ往った。 「瓶子のままでいいのですか」 「いい、持って来い」 「お銚子....