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「甘ったるい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

甘ったるいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
制服に着かえ始めた。葉子はいそいそとそれを手伝った。倉地特有な西洋|風《ふう》に甘ったるいような一種のにおいがそのからだにも服にもまつわっていた。それが不思議に....
星座」より 著者:有島武郎
た。おぬいさんの復習したのは、アーヴィングの「スケッチ・ブック」の中にある、ある甘ったるい失恋の場面を取りあつかったもので、渡瀬がこの前読んで聞かせた時には、く....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
といったりする時には、甘味は有価値的意味をもっている。しかるに、「あまっちょ」「甘ったるい物の言い方」「甘い文学」などいう場合には、甘味によって明らかに反価値性....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
うた。そんな柳吉に蝶子はひそかにそこはかとなき恋《こい》しさを感じるのだが、癖で甘ったるい気分は外に出せず、着物の裾《すそ》をひらいた長襦袢の膝でぺたりと坐るな....
深夜の市長」より 著者:海野十三
っと行くと、地上に出てよ。……じゃ、しっかりあたしの敵をとって来てね」 お照の甘ったるい声に送られて、僕は窓を跨いで小暗い地下道に下り立った。しかし、そのとき....
階段」より 著者:海野十三
上からネルソン辞典が四五冊、足許へ転がり落ちて来た。 「あら、あら、あら」 と甘ったるい声が天井から響くと、その急な階段を一人の女性がいと身軽にとぶように下り....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
吃驚させちゃ、いやーよ」 手を伸ばすと、届くようなところで、やや鼻にかかった、甘ったるい少女の声がした。 「いよいよ、これァ、大変だ」 「オーさんたら。自分ば....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
もこいつがよくねえなあ」 彼はここで渋面を作った。三白眼が打ち顰んだ。 変に甘ったるい匂いがした。微風が花野を渡ったのであった。草花のこぼす匂いであった。 ....
」より 著者:梶井基次郎
にも憂愁にも汚されたことのない純粋に明色の海なんだ。遊覧客や病人の眼に触れ過ぎて甘ったるいポートワインのようになってしまった海ではない。酢っぱくって渋くって泡の....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
らないことが沢山あるのネ。今のあたしもそうなのよ」 ミチミはそれを鼻にかかった甘ったるい声でいって、眼を下に俯せた。そこには単衣をとおして、香りの高いはち切れ....
出奔」より 著者:伊藤野枝
汝のごとき敵を持つことを少しも悔いない。俺は汝を憎むほどに愛したいと思っている。甘ったるい関係などは全然造りたくないと思っている。俺は汝と痛切な相愛の生活を送っ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
道が南北へ分れるのを、ほんとうに一呼吸という処で、不思議な縁で……どうも言う事が甘ったるいが、どうもどうも、腹の底まで汁粉に化けた。 ――氷月の雪の枝折戸を、....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ンド、アイ、ノウ、ザット、マイ、マザー、イズ、プレーイン……」と、鼻にかかった、甘ったるい声で、晴れ晴れと唄いながら、美和子が帰って来た。 「誰から……?」圭子....
夜の構図」より 著者:織田作之助
は一体何であろう。 ラヴシーンだというせいではなかったろうか。歯の浮くような、甘ったるいラヴシーンで、凡そくだらない一幕だった上に、現代劇だというのに、新内流....
昆布とろ」より 著者:北大路魯山人
えば、くどい味、油っ濃い味、粗野な味、手っ取り早い味、落着かないせかせかした味、甘ったるい味というところに嗜好が動く。 論より証拠、東京っ子は今もなおてんぷら....