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甘口
「甘口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甘口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
」のうちの「意気地」や「諦め」が存在を失って、砂糖のような甘ったるい甘味のみが「
甘口」な人間の特徴として残るのである。国貞《くにさだ》の女が清長《きよなが》や歌....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
で、何をするのもおっくうだと思っていたら、それだよ、それだよ。水金のたれはちっと
甘口でぞっとしねえが、中くしのほどよいところを二、三人まえいただくのも、いかさま....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
はいろうとしたのを、 「あわてるな!」 小声で鋭く名人がしかりました。 「少し
甘口なことをいってやると、じきにおまえはうれしくなるからいけないよ。相手はあまり....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
と思うか。貴様の宅に支倉から手紙が来たか来ないか位はちゃんと調べてあるぞ。そんな
甘口で易々と貴様は放免しないぞ」 「じゃ何んですか」 浅田は不審そうに根岸を見....
「冗談に殺す」より 著者:夢野久作
私であった。 しかし私は、そんな気ぶりを色に出すようなヘマはしなかった。そんな
甘口に引っかかって一寸でも躊躇したら、その躊躇がそのまま「有罪の証拠」になる事を....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
いと思うのである。その挙句のシナリオはいろいろくふうがあるであろう。たとえばごく
甘口の行き方をすれば、弦の切れて巻き上がった三味線をちょっと映した次に、上野の森....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
り蜜を採り、池の南の群猿その蜜を仏に奉ると『西域記』を引き居るが、仏はなかなかの
甘口で猴はそれを呑み込んで人間に転生したさに毎々《つねづね》蜜を舐《ねぶ》らせた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
本は空になって、また次なる一本を、 「これはまた変っておりましょう、この方が少々
甘口かも知れませんが……」 やっぱりそうだ、ためしに飲む酒と、飲ます酒は、人を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
れ抜いているこの国へやって来て仕事をしようという奴等だ、貴様たちの手に乗るような
甘口ばかりじゃない、日本の国を覘《ねら》って来る奴等だ、貴様たちの一人や二人丸呑....
「黄泉から」より 著者:久生十蘭
へえ、いったいどういうことなんですか」 「それから、女の子が飲むんだから、なにか
甘口のヴァン・ド・リキュウルがあったろう」 「これは恐れいりましたな。オゥ・ソー....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
んですって? 白状するなら助けてやるって?……冗談ばっかし!……あたしが、そんな
甘口に乗ると思って?」 上のほうでは、また、別な声で、 「いや、かならず助けて....
「酒渇記」より 著者:佐藤垢石
―波の鼓の色もよく、長崎の湊にして猩々講を結び、椙村のうちに松尾大明神を勧請中、
甘口辛口二つの壺をならべ、名のある八人の大上戸|爰に集まる。大蛇の甚三郎、酒呑童....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
ばなれに、そこここのちゃぶ屋や小料理屋の奥座敷へしけ込んで晴れを待つ間を口実に、
甘口は十二カ月の張り合いから、上戸は笑い、泣き、怒りとあまり香ばしくもない余興《....
「活人形」より 著者:泉鏡花
御意に叶いしことと亭主は頻に乗地となり、「いえ世がこの通り開けましたで、そういう
甘口な妖方はいたしません。東京の何とやら館の壮士が、大勢でこの前の寺へ避暑に来て....
「想い出」より 著者:古川緑波
て、口に入れてはみたものの、あんまりオツすぎて、プフッと言っちまって、あわてて、
甘口のシャムパンを飲んだことなども思い出す。 フランス語と来ては、まるで分らな....