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甘苦
「甘苦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甘苦の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
た気持にさせた。 「まあこんなところがあるの」かの女は閃く感覚を「猫の瞳」だの「
甘苦い光の澱み」だのと手早くノートしていると、規矩男は浮き浮きした声で云った。 ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
は海に通い ささやきは胸に通い―――― 壁虎が鳴く、夜鳥が啼く。私にも何となく
甘苦い哀愁が抽き出されて、ふとそれがいつか知らぬ間に海の上を渡っている若い店員に....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
りというべき就中《なかんずく》小説の如《ごと》きは元来その種類さまざまありて辛酸
甘苦いろいろなるを五味を愛憎する心をもて頭《アタマ》くだしに評し去るは豈《あに》....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に許される気持のうちに、夢のような、飯事《ままごと》のような、また何ともいえない
甘苦しい陶酔のうちに、それでも無事に日は進行して行きましたが、ここに許さない故障....
「千世子(三)」より 著者:宮本百合子
に呪われて居るんだ。 青い眼のくぼんだ誰が見ても不愉快な顔つきをした千世子は
甘苦い様な臭剥《しゅうぼつ》を飲みながらこんな事を云った。ふだんにまして気むずか....
「精」より 著者:マクラウドフィオナ
ていた口がどうしてこんなに涼しくなったのだろう、脣《くちびる》がどうしてこんなに
甘苦い香でうるおっているのだろう、木の実のつゆけがまだ残っているように。 彼は....