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甚い
「甚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
たのも貴女です」と云って更に余に向い「道さん、此の女に立ち去ってお貰いなさい」と
甚い見幕だ、余は「道さん」では無い、道九郎《どうくろう》だ、「道さん」とは唯幼い....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
がわしい道具に交ぜて、ばらばら古本がある中の、表紙の除れた、けばの立った、端摺の
甚い、三世相を開けて、燻ぼったカンテラの燈で見ている男は、これは、早瀬主税である....
「観画談」より 著者:幸田露伴
風呂に立てて入ろうとなさる水の落ちる…… といいさして、少し間を置いて、 雨が
甚いので今は能く見えませんが、晴れていればこの庭の景色の一ツになって見えるのです....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
」 ○「へえ成程それから何うしました」 侍「ところで同衾に寝たんだ」 ○「へえー
甚いなア……成程、鐵ウもっと前へ出ろ、大変な話になって来た」 向座敷で手をぽん....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
思召して御救助を何うか」 茂「成程、それはお困りでしょうが、当節は以前と違って
甚い不手廻りですから、何分心底に任しません」 と金子を紙に包んで、 茂「これ....
「狼の怪」より 著者:田中貢太郎
一生懸命に掴んで見ますと、それがお嬢さんの手でした、私こそ寝ぼけてて、お嬢さんを
甚い目に遭わして、お気の毒ですよ」 章は若い女の方を見て笑った。 「どういたし....
「殺神記」より 著者:田中貢太郎
驚いた。その村の人の眼に野猪の片腕が見えた。 「村の鎮守様だ、神様の手を切るとは
甚いことをしたものだ、どんな祟りがあるかも知れん、叩き殺して神様にお詫びをする」....
「連環記」より 著者:幸田露伴
な気分で女に別れて、ああせいせいしたなどと洒落れているのである。それでいて其男が
甚い悪人でも無いというのが有るのだから、一体愛情というものの上には道徳が存するも....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
畳込んで、うしろ顱巻なんぞして、非常な勢だったんですが、猪口の欠の踏抜きで、痛が
甚い、お祟だ、と人に負さって帰りました。 その立廻りですもの。灯が危いから傍へ....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
蝠傘は漏りはしませんか」 庄「なに車に乗ったから傘は要らなかった。」 美「そう、
甚いのに何処まで往っておいでなすったの」 庄「王子の茶園に往って送り込を頼んで来....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
を飲み合い、もたついて居るのを見たから堪りません。平素温和しい善い人の怒ったのは
甚いもので、物をも云わずがらりと戸を開けて中へ飛込み、片手に抜身を提げて這入ると....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
れを看取りお徳の顔を睨みつけた。お徳はこう睨みつけられたとなると最早喧嘩だ、何か
甚い皮肉を言いたいがお清が傍に居るので辛棒していると十八九になる増屋の御用聞が木....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
たり通る。 路は悪かった。所々の水溜では、夫人の足がちらちら映る。真中は泥濘が
甚いので、裙の濡れるのは我慢しても、路傍の草を行かねばならない。 停車場は、そ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
、その近所に襤褸屋があって、火はこれから揚がったのだ。 その夜は北風の恐ろしく
甚い晩であった。歳の暮に差し掛かっているので、町内々々でも火の用心をしていたこと....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
に職人のわいわい連中が押して来て非常な騒ぎとなる。何んでも一年中でこの酉の市ほど
甚い雑踏はないのだから、実に無量雑多な人間が流れ込んで来る。とにかく、生馬の目で....