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甚だ
「甚だ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甚だの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
吉を解放した。もっともマゾフは国防計画よりも私娼保護を重んじたかどうか、その辺は
甚だはっきりしない。多分はやはり国防計画にも相当の敬意を払っていたであろう。しか....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
渡らなかったにしろ、君は格別僕の手紙を予想しているとも思われないからその点だけは
甚だ安心している。が、もしこの手紙を受け取ったとすれば、君は必ず僕の運命に一驚《....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
湯屋では寺の僧が日毎に湯を沸かしている。従ってここへ出入する僧俗の類《たぐい》も
甚だ多い。内供はこう云う人々の顔を根気よく物色した。一人でも自分のような鼻のある....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
曖昧《あいまい》である。
曖昧と云えば浪の向うも靄《もや》のおりているせいか、
甚だ曖昧を極めている。僕は長椅子に寝ころんだまま、その朦朧《もうろう》と煙《けぶ....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
らぼうにいい放った。彼の顔は見渡した所、一座の誰よりも日に焼けている。目鼻立ちも
甚だ都会じみていない。その上|五分刈《ごぶが》りに刈りこんだ頭は、ほとんど岩石の....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
な。第一|人相《にんそう》が、――人相じゃない。犬相《けんそう》だが、――犬相が
甚だ平凡だよ。」
もう酔《よい》のまわった牧野は、初めの不快も忘れたように、刺....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
ゆき》の首は暑中の折から、頬《ほお》たれ首《くび》になっております。従って臭気も
甚だしゅうございますゆえ、御検分《ごけんぶん》はいかがでございましょうか?」
....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
たと云う。これもそう無性《むしょう》に喜ぶほど、悪魔の成功だったかどうか、作者は
甚だ懐疑的である。
(大正十一年八月)....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
「オールマナック・メエカア。正にそれにちがいない。いや僕の考える所では、それさえ
甚だ疑問ですね。しかしそんな事は、どうでもよろしい。それより君の特に研究しようと....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
口を開いた。しかしその口を洩《も》れた言葉は「なぜ」に対する答ではない。意外にも
甚だ悄然《しょうぜん》とした、罪を謝する言葉である。
「あたら御役《おやく》に立....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
「人生苦あり、以て楽むべし。人間死するあり、以て生くるを知る。死苦共に脱し得て
甚だ、無聊《ぶりょう》なり。仙人は若《し》かず、凡人の死苦あるに。」
恐らく、....
「少年」より 著者:芥川竜之介
手柄《おおてがら》には違いない。かつまた家中《かちゅう》を陽気にしたのもそれ自身
甚だ愉快である。保吉はたちまち父と一しょに出来るだけ大声に笑い出した。
すると....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ぶことは危険だったのに違いない。が、今日は暴君以外に奴隷を奴隷と呼ぶこともやはり
甚だ危険である。
悲劇
悲劇とはみずから羞《は》ずる所業を敢《あえ》....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
十八世紀の初期に至るまで、彼が南北両欧に亘《わた》って、姿を現したと云う記録は、
甚だ多い。最も明白な場合のみを挙げて見ても、千五百七十五年には、マドリッドに現れ....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
同時に「蛇笏と云うやつはいやに傲慢な男です」とも云った。僕は悪口を云われた蛇笏に
甚だ頼もしい感じを抱いた。それは一つには僕自身も傲慢に安んじている所から、同類の....