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甞て
「甞て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甞ての前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「太十と其犬」より 著者:長塚節
らせたら打っても突いてもいうことを聴くのではない。性癖は彼の父の遺伝である。だが
甞て乱暴したということもなくてどっちかというと酷く気の弱い所のあるのは彼の母の気....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
《ひま》に、爰《ここ》で一寸《ちょっと》国元の事情を吹聴《ふいちょう》して置く。
甞て私が学校を除籍せられた時、父が学資の仕送りを絶ったのは、斯《こう》もしたら或....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
豆芋|等を手作して喰料を補い、一銭にても牧塲費に貯えん事を日夜勤むるのみ。然るに
甞て成効して所有するの樽川村の地には、其年には風損と霜害とにて半数の収益を※じた....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
インデファレント》ではない。 「俺は彼等に何か欲求を持っている。……然し、彼等は
甞て俺に何かを求めたであろうか……。」 矢島さんはこう自ら云ってみた時、心が苦....
「掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
ことが出来なかった。彼の代りに静かにその気持ちを味っている秀子が其処に居た。彼が
甞て感じたようなことを逆に彼に語ってきかせる秀子が其処に居た。 「私こうして夕方....
「楠の話」より 著者:豊島与志雄
銃は旧式で、銃身が非常に長く重かった代りに、着弾距離が極めて大だった。その上父は
甞て近衛の聯隊に居たことがあって、射撃に巧みだった。楠の梢に居る鳥を、少しの隙間....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
したのだろう!――そして合間合間には腕を組んで室の中を歩いたりしてるうちに、今迄
甞て知らない種類の焦慮に襲われてきた。「晩に河野さんの所へでもいらっしゃるがいい....
「人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
無銘ではあるが、長義の作だと伝えられる、白鞘の短刀があった。彼はそれを持出して、
甞て道子と二人で甘い一日を過したことのある、江ノ島へ出かけた。勿論その時、どうい....
「故郷」より 著者:豊島与志雄
ちに完全な親魚となり、卵を孕んでくる。 それが、産卵期になると、孵化場の側の、
甞て放たれた小川へ、群をなして上ってくる。川一面に鱒となる。 湖水へ注ぐ小川は....
「「草野心平詩集」解説」より 著者:豊島与志雄
まえの未来はギラギラ光るか。 おれだって、夢は持ってる。いつまでも持ってる。
甞てもそうだった。友と二人で、曇天の下、芝浦埋立地にじっとしていたことがあり、お....
「湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
立てた。「私はまだ自分の心より外に祈祷を捧げたものはありません。私が祈る時、私は
甞て両手を何物かに差出したことがあるでしょうか? 私は……私は何時も自分の胸に、....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:鈴木行三
実際に試み頗る好評を得たり。依て益々此の法を拡張して世を益せんことを謀るに方り、
甞て稗史小説の予約出版を業とする東京稗史出版社の社員来って曰く、有名なる落語家三....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
の遺伝を持っていても、やっぱり自分の児が欲しゅうございます。当時の証人としては、
甞ての乳母やさんがいつでも出現して下さるそうでございます。どうぞ、旦那様、花の児....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
がしてならない。この白いレターペーパーから、文字以上の文字を読もうと焦りました。
甞てこの人との間に縁談があったと妻が云っていたことを思い出して、聞いた時はそのま....