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生え際
「生え際〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生え際の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
後|襟《えり》の赤い裏から肥った白い首がむっくり抜き出て、ぼんの窪《くぼ》の髪の
生え際が、青く霞めるところまで、突きつけたように見せた。顔は少し横向きになってい....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
し、細やかな襞《ひだ》や陰影が底を不気味に揺り上げてきて、わずかに耳の付け根や、
生え際のあたりにだけ、病んだような微妙な線が残されるばかりになった。そうして、隆....
「親子」より 著者:有島武郎
につまったのか、怒りに堪えなかったのか、父は押し黙ってしまった。禿げ上がった額の
生え際まで充血して、手あたりしだいに巻煙草を摘み上げて囲炉裡の火に持ってゆくその....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
二十四歳、日本人で北川準一という男だ。背丈は一メートル六十、色の白い青年で、額の
生え際に小さい傷跡がある。服装は、鼠色の寝衣風のズボンと上衣とをつけている。非常....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
った氏の姿を葉子は更に傷ましく見た。思わず眼をそむけた。頭半分も後退した髪の毛の
生え際から、ふらふらと延び上った弱々しい長髪が、氏の下駄|穿きの足踏みのリズムに....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
度以上も離れていて、その上端が、まるで峻烈な性格そのもののように尖っている。やや
生え際の抜け上った額は眉弓が高く、灰色の眼が異様な底光りを湛えていて、眼底の神経....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
。 とまた月子の声がした。 「可愛らしい額でございますこと。秀でた天停、調った
生え際、これも変えなければいけますまい。三横文の皺をつくり、落涙の相と致しましょ....
「父」より 著者:金子ふみ子
た。床屋に行くときも父が必ず、私をつれて行ってくれた。父は私の傍につきっきりで、
生え際や眉の剃方についてなにかと世話をやいていたが、それでもなお気に入らぬと本職....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
と柿ばんでいて、それがテッキリ、嬰児の皮膚を見るようであるが、額から上は、切髪の
生え際だけが、微かに薄映み――その奥には、白髪が硫黄の海のように波打っていた。 ....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
だまでに、見て取った彼女の顔形は、全く美しいものであった。キッパリとした富士額、
生え際の濃さは珍らしいほどで、鬘を冠っているのかもしれない、そんなように思われた....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
典型的な北欧型といい、どうみても彼女は、氷の稜片で作り上げられたような女だった。
生え際が抜け上がって眉弓が高く、その下の落ちくぼんだ底には、蒼い澄んだ泉のような....
「中毒」より 著者:織田作之助
な美女でも、もし彼女がウェーブかセットを掛けた直後、なまなましい色気が端正な髪や
生え際から漂っている時は、私はよしんば少しくらい惚れていても、顔を見るのもいやな....
「好きな髷のことなど」より 著者:上村松園
などの席上で、京都でも一粒選りの美人を随分見る機会がありましたが、目が美しいとか
生え際がいいとか、口許が可愛いとか、兎に角部分的に綺麗な人はかなり沢山ありました....
「京のその頃」より 著者:上村松園
にも何段にも区別があった。 総じて京風というと襟足の美しさが一際目立つもので、
生え際の長い、白い頸筋に黒々とした髪の風情は、特に美しい人のためにこそ引き立ちも....
「三味線の胴」より 著者:上村松園
うちの松篁は、私の顔を三味線だと言う。 これは私の額口が、さよう独立的と言いますか後家星と言いますか、
生え際が角ばっている。普通の女の人は
生え際がせまくて山形になっている。ところが私....